16秒 ページ17
｢あれ？｣と首を傾げている私を見て、ヘルメッポは呆れたように嘲笑する。
その表情にムッとするも、思い出せないのは事実のため、仕方ないかと見なかったふり。
｢………｣
自分の髪を見下ろして、一つため息をついた。
二時間程のんびりと町中を見て回り、日も暮れてきたしと船に戻るため、港を目指して歩く。
｢結局、何も買いませんでしたね｣
｢特に欲しい物はないしね、ただ散歩したかっただけだから。
室内に籠ってばかりだと、見えない色もあるからね｣
この町は、風が吹き抜けるたびに潮の香りを運んでくれる。
海の匂いはどこか懐かしくて、不思議と心が安らぐ。
カチッという小さな音の直後、町全体に広がるような澄んだ鐘の音が響き渡った。
思わず立ち止まって見上げると、広場の中心に立つ大きな時計塔の長針が、丁度天辺を指している。
｢綺麗な音…｣
｢──ッ?!｣
鐘の音に紛れて、微かに誰かの声が聞こえた気がした。
なんとなく気になって振り向こうとしたその瞬間、肩をガッと掴まれて、驚きで短い声が出る。
｢Aッ…だよな!?｣
｢へっ？｣
飛び退くように少し距離を取って、その声の主を見る。
どことなく貴族を連想させる、カッチリとした服装の、シルクハットを被った青年。
｢A…お前！ 生きてたんだな！｣
｢よかった｣そう言うや否、ガバッと勢いよく抱き締められた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 223人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
三暁 那保(プロフ) - パティあすさん» 初めまして、コメントありがとうございます！ 他の作品も読んで頂けてるなんて、とても嬉しいです！ 今回も完結目指して頑張りますので、どうぞよろしくお願いします！ (2020年2月26日 21時) (
レス) id: 7810e58c3c (このIDを非表示/違反報告)
パティあす(プロフ) - 三暁さん始めまして！「4つのシリーズ」からずっと見させていただいております！1年くらい前の話ですけど… 次話も楽しみにしております！ これからも更新頑張ってください！ (2020年2月26日 20時) (レス) id: eca4eceaa9 (このIDを非表示/違反報告)
三暁 那保(プロフ) - あおさん» コメントありがとうございます！ ずっと読み続けて下さってるなんて本当に嬉しいです♪ 読書は好きで、ジャンル問わずなんでも読みますよ。文芸書からライトノベル、Web小説とかも。最近は｢本好きの下剋上｣に嵌まってます。未読でしたら、ぜひ(笑) (2020年2月13日 12時) (レス) id: 7810e58c3c (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - かれこれ三暁さんを5年追っています。三暁さんの世界観にどっぷりハマってしまっています笑 新作、とても楽しみです＾＾頑張ってください！そして一つ質問ですが、三暁さんは文才に長けてるなと感じてます。何か小説とか読んでましたら、作品名を教えてください (2020年2月13日 9時) (レス) id: 7473417e26 (このIDを非表示/違反報告)
三暁 那保(プロフ) - 竜胆さん» コメントありがとうございます！ お待たせ致しました、新作です！ サボが登場するのはしばらく先になりそうですが、ちゃんと恋愛させるので(笑)お待ち下さい。今作も頑張って行きますので、どうぞよろしくお願いします！ (2020年1月15日 22時) (レス) id: 7810e58c3c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：三暁 那保
| 作成日時：2020年1月15日 19時
