No.286 ページ47
自身の上着を私の背中に羽織らせて、それが落ちないように一番上の留め具だけをした。
｢ちょっと失礼｣そう言った総長は、手枷の嵌まった私の腕を持ち上げ、自身は背中を向ける。
手枷で繋がれている両手首、腕の間に総長は顔を入れ、振動がいかないように気遣いながらも軽々と背負い上げた。
ｻﾎﾞ｢痛くねぇか？｣
それに｢大丈夫｣とだけ答えると、総長は普段よりも大股で歩き出す。
土を踏み締める音以外は聞こえない、静かな時間。
貴｢……なんで、怒らないんですか…？｣
ｻﾎﾞ｢なんだ？ Aはオレに怒られたいのか？｣
｢そうじゃないです｣小さく溢して目を伏せる。
貴｢嘘…ついてたんですよ。
ずっと、皆さんを騙してた……｣
ｻﾎﾞ｢ああ、そうだな。
確かにAは、男だって嘘をついていた。
…けどさ、それだけだろう｣
貴｢え…？｣
ｻﾎﾞ｢この三年、革命軍の一員として頑張ってくれてたAはさ、別に自分自身までは偽ってなかっただろう｣
少し遠い地面が揺れて見えるだけ、総長がどんな表情をして言ってくれているのか、今の私には何もわからない。
ｻﾎﾞ｢真面目で、大人しくて、物静か。
頼まれたら断る事が出来なくて、いつも他人と一定の距離を保とうとしてる。
そのくせ困ってるヤツを見たら放っておけなくて、手を差し伸べてしまうお人好し。
自分をやたら低く見てて、褒められたり感謝されるのに慣れてない。
気弱なのに意外と頑固で、一度決めた事はなかなか曲げなかったりする｣
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三暁 那保(プロフ) - オランジェさん» コメントありがとうございます！ とても嬉しいです！ ｢ユメうつつ｣は次で完結の予定です。ハッピーエンド目指して頑張ります！ 応援のお言葉、本当にありがとうございます。もう暫く、この物語にお付き合い頂ければ嬉しいです！ (2019年10月11日 23時) (
レス) id: 7810e58c3c (このIDを非表示/違反報告)
オランジェ(プロフ) - ここまで本当にお疲れ様です。陰ながら応援していましたが、最後の場面で感動して、これは感謝を伝えねば！！っと思い今回コメントしました。これからも頑張って下さい！ (2019年10月11日 22時) (レス) id: 6c614d1ce6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三暁 那保
| 作成日時：2019年8月11日 19時
