No.284 ページ45
樹にもたれ掛かった体勢、丁度正面にいるホーネットの表情がよく見えてしまう。
ニヤリと口端を上げ、愉しそうに目元を細めるその顔が。
ﾎｰﾈｯﾄ｢あなたはそれを仲間だと思っているとして、果たしてそれも同じだとは思えませんね。
男だと嘘をつき、真実を隠す。
一切信用などされていませんよ、あなた方は利用されているだけです、それにね｣
貴｢っ｣
ﾎｰﾈｯﾄ｢それを見れば一目瞭然でしょう、嘘に。
騙されていたのですよ、ずっとね｣
ｻﾎﾞ｢……お前さ、もう一言も喋るな｣
ホーネットに背を向けた総長は、悔しさで俯く私の前で膝をつく。
ｻﾎﾞ｢すまねぇ、すぐにでも手当てしてやりたいんだが、少しあいつに用が出来た。
ここで待っててくれ、すぐ終わらせる｣
総長は上着を脱ぐと、それを私にふわりとかける。
ｻﾎﾞ｢A、お前は何も見なくていい。
あんなヤツの言葉、聞く必要はない｣
ポスッと被せられたシルクハットは私には大き過ぎて、目どころか耳までもすっぽりと収まった。
ｻﾎﾞ｢それ、Aに預けた｣
目の前は暗くて、周りの音は籠って聞こえる。
耳を塞いでしまえば、音はまったく聞こえなくなるんだろうけど、生憎腕は持ち上がらない。
それがわかってるから総長は、私に帽子を預けた。
…また、総長に守られてしまっている。
守られてばかりは嫌で、私も何か役に立てる事をしたくて、それなのに迷惑しかかけてない。
こんな嘘つき、捜しになんか来てくれなくてよかったのに。
騙されたって怒って、私の事なんか放っておいて、さっさと忘れてしまえばよかったのに…。
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三暁 那保(プロフ) - オランジェさん» コメントありがとうございます！ とても嬉しいです！ ｢ユメうつつ｣は次で完結の予定です。ハッピーエンド目指して頑張ります！ 応援のお言葉、本当にありがとうございます。もう暫く、この物語にお付き合い頂ければ嬉しいです！ (2019年10月11日 23時) (
レス) id: 7810e58c3c (このIDを非表示/違反報告)
オランジェ(プロフ) - ここまで本当にお疲れ様です。陰ながら応援していましたが、最後の場面で感動して、これは感謝を伝えねば！！っと思い今回コメントしました。これからも頑張って下さい！ (2019年10月11日 22時) (レス) id: 6c614d1ce6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三暁 那保
| 作成日時：2019年8月11日 19時
