No.279 ページ40
確か前にも、こんな風に船のへりの上に立った覚えがある。
その時はただ落ちれば良かっただけ、全てを投げ出す覚悟だった。
…でも、今回は違う。
落ちたらどうしよう、そんな頭に過る不安を振り払い、私は渾身の力で前方へとジャンプした。
受け身がまったく取れなくて、半身を地面に擦るように転がる事数メートル。
壁に背中を強く打ち付けて、ようやく動きは止まった。
貴｢うぅ…っ｣
全身が痛い…けど、船からは降りられた。
まだ立てるし、歩ける。
いつも助けられてばかりのくせに、自分から歩み寄る事を一切避けていた。
逃げて、目を逸らして、避けてばかりの私を、
それでも総長は迎えに来てくれた。
迷惑かけたくないとか、嫌われたくないとか、
そんなのはもうどうでもいい。
本当は近付きたいの、ちゃんと本音で話したい、一緒に笑いたい。
自分の足で帰って、謝罪して、それで嘘つくのをやめる。
もう逃げない、ちゃんと革命軍と向き合いたいから。
風の流れに沿って歩けばすぐ、洞窟の出口らしき明かりが見えた。
外に出れば、ここがどこなのか、革命軍の船がどこにあるのかもわかるかもしれない。
気持ちは速くと急かすのに、生憎足はマイペースを貫き通すものだから、全然出口が近付かない。
ズキズキと痛む腕や足からずっと流れている赤い血が、ポタポタと指先を伝い、点々と跡を残す。
足を引きずるようにして、確実に縮まる距離。
やっとの思いで空の下に出ると、青空が広がっていた。
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三暁 那保(プロフ) - オランジェさん» コメントありがとうございます！ とても嬉しいです！ ｢ユメうつつ｣は次で完結の予定です。ハッピーエンド目指して頑張ります！ 応援のお言葉、本当にありがとうございます。もう暫く、この物語にお付き合い頂ければ嬉しいです！ (2019年10月11日 23時) (
レス) id: 7810e58c3c (このIDを非表示/違反報告)
オランジェ(プロフ) - ここまで本当にお疲れ様です。陰ながら応援していましたが、最後の場面で感動して、これは感謝を伝えねば！！っと思い今回コメントしました。これからも頑張って下さい！ (2019年10月11日 22時) (レス) id: 6c614d1ce6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三暁 那保
| 作成日時：2019年8月11日 19時
