No.267 ページ28
何か言わないと…、でも何を？
今の会話は聞いていない？
そんな嘘、今さら通じるわけがない。
Aの表情を見れば、嫌でも伝わる。
貴｢っご、ごめんなさい…っ｣
真っ青な顔を伏せたAは、オレのすぐ横をすり抜けた。
手を伸ばせば捕まえる事なんか簡単なのに、手が動かない。
小さな風が遅れて隣を通り抜けたのをきっかけに、一瞬遅れてオレの体は反応する。
すぐに、距離が開いていく小さな背中に声を投げつける。
ｻﾎﾞ｢A！｣
しかしその声は届いていないかのように、距離は開いていく一方で。
｢クソッ｣とイラつきが声に出る。
急いで追いかけようと踏み出すより早く、苦笑混じりの言葉が届いた。
｢総長、ほっといても問題ないでしょう｣
ｻﾎﾞ｢……お前ら｣
Aを早く追いかけたい、そんな思いからつい目付きも口調もきつくなる。
｢な、何怒ってんですか…？｣
｢いや、だって…あんな成りでもあいつ、一応は男ですよ｣
｢あんな反応するなんて、こっちも正直予想外っつうか…、なあ｣
こいつらの言い分はわかる。
からかいで出た言葉に、想像とは違う応えがきて、困惑してるって。
｢もしかして総長、案外まんざらでもなかったりして…｣
ああ、ダメだ。
これ以上こいつらと話していると、手が出てしまいそうだ。
ｻﾎﾞ｢だったら、なんだよ｣
｢え｣と重なった声を無視して、オレは急いで踵を返す。
もうAの姿は見えなくなっていて、とにかくがむしゃらに、船内を駆け回った。
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三暁 那保(プロフ) - オランジェさん» コメントありがとうございます！ とても嬉しいです！ ｢ユメうつつ｣は次で完結の予定です。ハッピーエンド目指して頑張ります！ 応援のお言葉、本当にありがとうございます。もう暫く、この物語にお付き合い頂ければ嬉しいです！ (2019年10月11日 23時) (
レス) id: 7810e58c3c (このIDを非表示/違反報告)
オランジェ(プロフ) - ここまで本当にお疲れ様です。陰ながら応援していましたが、最後の場面で感動して、これは感謝を伝えねば！！っと思い今回コメントしました。これからも頑張って下さい！ (2019年10月11日 22時) (レス) id: 6c614d1ce6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三暁 那保
| 作成日時：2019年8月11日 19時
