No.266 ページ27
早く戻らなくちゃって思いはあるのに、体は反するように動いてくれない。
…私が、戻りたくないって心に訴えているから。
ふわりと空から降ってきた白い綿が、手の甲に優しく着地した。
ひんやりとした感覚を一瞬だけ与えて、白い綿はあっという間に透明な水に変わる。
貴｢雪…｣
いっそ、戻らなくてもいいかもしれない。
今さら戻ったところで、どんな顔をして総長に会えるっていうのさ…。
はっきり拒絶されるくらいなら、このままここで…独りになりたい。
俯いている視界に、白いものが割り込んだ。
雪…じゃない、これは……布だ。
そう認識した時にはすでに、白い布が鼻と口を覆う。
貴｢っ｣
しまった、吸い込んじゃった…。
ツンとした刺激臭、一気に意識が薄くなる。
約束、破っちゃったな……。
最後に過ったのは、そんな思いだった。
〜サボside〜
｢まあ、こんだけ懐かれちゃ、悪い気はしないだろうな。
｢見てたらわかるけどよー、Aってマジで総長の事好きだよなー｣
貴｢へっ？ ち、違…っ｣
しまったな…。
そんな会話を聞いてしまったオレは、真っ先にそう思った。
だからすぐにでも隠れて、何も聞いていない風を装うべきだったのに。
一人に、オレの存在を気づかれてしまう。
貴｢え……｣
一瞬で血の気が引き、満月みたいな瞳から色が消える。
ｻﾎﾞ｢A…｣
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三暁 那保(プロフ) - オランジェさん» コメントありがとうございます！ とても嬉しいです！ ｢ユメうつつ｣は次で完結の予定です。ハッピーエンド目指して頑張ります！ 応援のお言葉、本当にありがとうございます。もう暫く、この物語にお付き合い頂ければ嬉しいです！ (2019年10月11日 23時) (
レス) id: 7810e58c3c (このIDを非表示/違反報告)
オランジェ(プロフ) - ここまで本当にお疲れ様です。陰ながら応援していましたが、最後の場面で感動して、これは感謝を伝えねば！！っと思い今回コメントしました。これからも頑張って下さい！ (2019年10月11日 22時) (レス) id: 6c614d1ce6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三暁 那保
| 作成日時：2019年8月11日 19時
