[ONE PIECE] ユメうつつ -6- (ページ7)

今日:4 hit、昨日:6 hit、合計:113,212 hit

No.203 ページ7

貴｢総長は優しいですよ。
でもだからといって、全てを許してくれるとか、そんなのわからないじゃないですか。

許してくれるはずとか、怒らないで話しを聞いてくれるはずとか、そんなの…わかんないじゃないですかっ。

……そんな都合のいい未来、自分に訪れていいはずがありません。
夢で見る事すら、失礼ですよ…｣

｢だからいいんです｣と、そう小さく言葉を零す。

言わないのが正しい選択。

このままずっと騙して、ただの部下で居続ける。

抱いてしまった淡い想いは、全てなかった事にして、今まで通り一定の距離を保つ。

それでいい、それ以外の選択肢を望んではいけない。

貴｢気のせいなんですよ、こんな気持ちは。
全部幻で、夢で、…存在していないものなんです｣

ｺｱﾗ｢……よくないよ｣

空耳かと思うくらい、小さな声。

大きな瞳は揺れていて、悲しそうな、辛そうな、苦しそうな、そんな色が混ざって見える。

ｺｱﾗ｢Aはそれでいいかもしれないよ。
でも…、Aちゃんの気持ちは…どうなるの……？｣

貴｢え…｣

その言葉に、深く胸を抉られたような感覚がした。

鈍い痛みが全身を巡り、目を逸らし続けていた本当の自分を引っ張りだされたみたいな。

捨てたつもりではなかったけど、箱に閉じ込めていたもの。