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No.201 ページ5
呆れた顔を浮かべていた師範代は、思わず出してしまった大きな否定の声に、目を見開いた。
貴｢そ、総長を好きになるなんて、そんなのおかしいじゃありませんか。
だって自分は…｣
ｺｱﾗ｢女の子でしょ｣
｢男だから｣そう言う事を止めるみたいに、師範代は私の言葉を遮った。
ｺｱﾗ｢女の子なんだよ、Aは。
いくら男と偽ろうが、自分も周りも騙そうが、
Aは女の子なの｣
貴｢………｣
何度も、何度も思ってきた事だった。
私は男になりたいわけでも、本物の男になれるわけでもないんだって。
ただ近付きたくなかったから。
未来を見たくなくて、親しくなりたくなくて、
心を許すのが怖くて。
自分自身を鎧で覆い隠すように、近付かない理由を作る為に、私は男だと偽る事を選んだ。
私だって本当は、可愛い服を着てみたい。
もっと髪を伸ばして、好きな人を好きだと認めて、堂々と恋をしてみたい。
…だけど、それは許されない。
自分勝手な都合で騙し、拒否し、逃げ続けている私には、そんな願いを口にする事すら…罰当りだ。
ｺｱﾗ｢好きなんでしょ、サボ君の事が。
いい加減認めなさいよ｣
貴｢……好きだって認めたら。
総長を好きだって認めたら、どうだっていうんですか…｣
ｺｱﾗ｢え…｣
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作者名：三暁 那保
| 作成日時：2019年6月6日 19時
