[ONE PIECE] ユメうつつ -6- (ページ25)

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No.221 ページ25

貴｢………｣

総長の顔を見るだけで、指先の熱を思い出してしまう。

自分の手を見て、そのあと総長の手を覗き見る。

革手袋越しでもわかる、自分とは明らかに違う手。

ぼんやりと総長の手を見ていたら、動いた手が私の手を取った。

貴｢えっ｣

ｻﾎﾞ｢いや、なんかずっと見てるし、手ぇ繋ぎたいのかなって思ってさ｣

貴｢ち、違…っ。
自分、何歳だと思っているんですかっ？｣

ｻﾎﾞ｢17歳だろ、今。
丁度ルフィと同じ年なんだよなぁ、Aって｣

からかうような笑みから一転、弟を想う柔らかい表情に。

伝わる体温は優しくて、ドキドキと鼓動が速くなる。

ｻﾎﾞ｢きっとルフィも、Aみたいに成長して…｣

そこで一旦言葉を止めた総長は、私から目を逸らして気まずそうに続きを告げる。

ｻﾎﾞ｢A…よりは大きくなってるだろうな、うん｣

貴｢じ、自分だって成長してますよっ｣

焦ってそう言ったはいいものの、去年からほぼ変わっていない身長を思い出し、総長の目を見ての発言は出来なかった。

そんな私の様子を見てクスクスと笑うだけで、手は依然として繋がったまま。

そこからはずっと、総長の弟さん語りが始まった。

そういえば師範代から、総長の弟さんに対する溺愛ぶりが酷いと聞いたばかりだった。

麦わらの事を話す総長の顔は、とても優しいもので。

きっと総長は麦わらに対して、いつもこんな表情を向けていたんだろうな。

参謀総長じゃなくて、お兄ちゃんとしての顔。