[ONE PIECE] ユメうつつ -6- (ページ16)

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No.212 ページ16

ｺｱﾗ｢でも、Aは何も買わなくて本当に良かったの？
見たいお店とかなかった？｣

貴｢はい、特にはなかったです。
服とかもあまり興味はありませんから、自分は｣

ｺｱﾗ｢ふーん…、ま、そう言うならいいや。
じゃあもうすぐ時間だし、そろそろ行こうか｣

少し気になる表情をされたけど、たぶん尋ねても誤魔化されるだけだろうから、何も気にしてないふりをして、師範代の後ろに続く。

ｺｱﾗ｢…あ、ごめんA、ちょっと買い忘れ。
すぐ戻るから、先に行ってて｣

こんなに買ったのに、まだ何か買うものがあったのかという驚きは心の中だけに留め、軽く手を振って見送った。

集合場所は、別れた広場。

中央にある大きな噴水に腰かけて、足元に預かっている荷物を置く。

そこでやっと、一息つけた。

｢ふぅ｣とため息をついて、空を仰ぎ見る。

丁度、名前のわからない綺麗な白い鳥が一羽、
青い空を横切った。

ぼんやりと空を眺めていると、ひやりと冷たい何かが頬に触れる。

貴｢ひゃっ？｣

一瞬、何が起こったのかわからなくて、目を白黒させる。

そんな私の傍らで、｢ぶはっ｣と噴き出すような声。

貴｢そ、総長っ｣

飲み物のカップを二つ持った総長が、目を細めて笑っていた。

ｻﾎﾞ｢わ、悪い、んな驚くとは…っ｣

｢悪い｣とは言っているけど、その表情からはまったく｢悪い｣という感情が見当たらない。