〜02〜 ページ40
箱から袋を取り出して、
そっと中を覗く。
貴｢たいした物は特になかったし、荷物は全部処分してもらって良かったんだけどね。
でも一つだけ、どうしても手離したくない物があって…｣
ｻﾎﾞ｢手離したくない物って？｣
貴｢それはまだ秘密｣
後ろから袋の中を見ようとするサボから、
袋を抱えて隠した。
貴｢それでね、ナミさんにそれだけ送って下さいって、鳥さんに手紙届けてもらったの。
あとルフィに、サボのとこにいるって手紙も｣
二枚のうちの一枚を、
サボに見せるようにヒラヒラと持つ。
貴｢で、ルフィから返事来たんだけど、
サボも見──｣
｢見る？｣と言うより速く、パッと手の中の便箋が消えた。
摘まんだ形のままの指を見てから、すごくにやけた顔で手紙を読むサボへ目線を移す。
貴｢………｣
今なら私、コアラちゃんが半眼で見る気持ちがわかるよ…。
｢はぁ｣とため息を一つついて、
胸に抱える袋を、ギュッと抱き締めた。
───
──
太陽は傾きかけ、空はオレンジ色に染まっている。
大きな窓から一歩外に出た先、バルコニーでやっと見つけた。
後ろ姿を見れば、柵に腕を乗せ、どこか儚げに夕焼け空を見つめているという、実に画になりそうな構図。
…実際には、弟からの手紙をにやけた顔で何度も読み返す、ため息の出る後ろ姿なわけだけど…。
貴｢サーボ｣
よっぽど手紙が嬉しいのか、私の気配にはまったく気づいていなかったみたい。
後ろから肩を叩いて呼びかければ、
彼は珍しく驚いたように肩を上下に揺らした。
ｻﾎﾞ｢わっ、Aか、どうし…た……｣
振り返ったサボの目が私を捉えた瞬間、
ピタリとその動きを止めた。
一秒、二秒、三秒…。
ボッと一瞬で首まで真っ赤に染まるサボの顔。
ｻﾎﾞ｢……可愛い。
…あっ、いや…っ｣
貴｢ぷっ…、あははっ！
その反応、あの時と一緒だよっ｣
ケラケラと笑いながら、
目尻に浮かんだ涙を指先で拭う。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1991人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アオちゃん - とても面白いかったです！すごく興奮しちゃいましたWこの小説は何回も読んでますが、本当に面白くて飽きません!!これからも頑張ってください(๑•̀ㅂ•́)و✧応援しています🎌 (2021年12月10日 22時) (
レス) @page49 id: a5ab7eb0d5 (このIDを非表示/違反報告)
ちかげ - 何年も海賊ジャンルを読み漁ってきましたが、こんな素敵な作品と作者様に出会えたのは初めてで本当に感動しております。完結おめでとうございます！こちらの作品は私の中でも神作としてずっと記憶に残ると思います。何度でも絶対に読み返します！お疲れ様でした！ (2021年2月1日 1時) (レス) id: c4444d8d97 (このIDを非表示/違反報告)
ちかげ - はじめまして、占ツクではじめてコメントをさせていただきました。ほんと感想なんて簡単な言葉で表せないくらいほんっっっとうに良い作品で数日かけて一気読みしてしまいました！→続く (2021年2月1日 1時) (レス) id: c4444d8d97 (このIDを非表示/違反報告)
三暁 那保(プロフ) - ぺんちゃんさん» ありがとうございます！ 完結して2年近くが経つのにコメントを頂ける事、本当に嬉しいです。この作品を見つけ、最後までお読み下さいましたこと、心より感謝申し上げます。ありがとうございました!! (2020年6月16日 18時) (レス) id: 7810e58c3c (このIDを非表示/違反報告)
ぺんちゃん(プロフ) - 完結おめでとうございます。何日もかけて楽しく読ませていただきました！笑いあり涙ありで感動しました！ (2020年6月16日 13時) (レス) id: e812f1d644 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：三暁 那保
| 作成日時：2018年6月5日 19時
