〇知りたくなかった真実 ページ9
Aはあの日以来学校に来ていない。
結局あの後体調が悪くなって、早退してしまった。
先生は多分来た時に渡すつもりだったんだろう、大量のプリント類を家に届けてくれないかとクラスに呼び掛けた。
(というか病み上がりに大量のプリントを持たせようとするのはいいのかどうか…)
もちろんAの家は誰も知らないわけで、まぁいろんな事情で知っている俺が引き受けることになった。
青子がついて行きたいと駄々をこねたが、Aに気を使わせるから一人で行くと押し切った。
大事なプリントがあると今日渡してきたので、それと一緒に届けることにした。
それを理由に、俺は早退した。(正当な理由である。うむ。)
1度家に帰り、制服から私服に着替えて一応眼鏡をかけた。
阿笠博士っちゅーおじいちゃんと住んでいるAだが、その阿笠博士は名探偵と親しい仲。
名探偵にそっくりな俺が現れたらびっくり仰天だろうと思い、せめてものの変装だ。
プリント類を一度分別して綺麗にまとめてファイルにそれぞれしまって、トートバッグにしまった。
《まもなく、米花町。米花町。お出口は…》
電車で江古田から米花町へ向かう。
Aはいつもこの電車を使って通学してるのか…と思うと大変だなぁと思った。
電車をおりて、携帯のマップを頼りに阿笠博士の家へと向かう。
「っと…ついた。」
洋館のとなりのなんだか近未来チックなお家。
ピンポーンと、呼び鈴を鳴らせばおじいちゃんの声が聞こえた。
「はい、阿笠ですが…」
「僕、灰原Aさんと同じクラスのものです。お休みの間のプリントを届けに来ました。」
「おお、そうかそうか。ちょっと待っててくれ」
しばらくして阿笠博士が出てきて、良ければ上がってくれと言ってくれたのでお言葉に甘えることにした。
ファイル別に分けてあるプリントの説明を大まかにして、阿笠博士に渡した。
「そういえば…学校は大丈夫じゃったかの?」
「平気です、今日は振替休日みたいなものなので。」
めちゃくちゃ嘘だけどな。
「あ、Aってどうですか?この前来た時は怪我をしていたので…」
「あ、あぁ。Aくんなら…その、えっと、だ、大丈夫じゃ!いま地下の自室でぐっすり眠っておるわい!」
「あ、そ、そうですか…」
何だこの焦りようは。
なにかあったのか?もしかして、もっと悪化したのを隠すように言われているとか?
これは、地下の自室とやらに行ってみなくては。
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御坂ナツキ(プロフ) - 木実こむぎ@Project KZ副隊長さん» ありがとうございます!とても嬉しくて執筆の励みになります!!頑張ります!! (2019年8月19日 21時) (レス) id: 7ae93b89fc (このIDを非表示/違反報告)
木実こむぎ@Project KZ副隊長(プロフ) - はじめまして!少し前から読ませていただいている者です。このお話の独特な雰囲気がどストライクです!これからも楽しみに待ってます! (2019年8月19日 18時) (レス) id: 7f9bbdec25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御坂ナツキ | 作成日時:2019年8月14日 21時