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三人は無事、愛知県佐久島の砂浜に着地した。
コナンは、さっきまで自分がいた飛行船を見上げ、飛行船が西に向かっていることを確認し、行き先が大阪だと考えていた。
「おう、今どこや?」
「三河湾にある佐久島だ」
「何や、まだそんなとこか」
「しゃーねえだろ。下ろされちまったんだから」
「下ろされた!?」
コナンは電話で大阪にいる、服部平次に今の飛行船の状況を説明した。
その背後では、キッドとAがヤギと戯れていた。
「...お嬢さん」
「何?」
「何故、あの時自分を離せと仰ったのですか?あそこから落ちていれば確実に死んでいた」
「...別に、私は...」
「代わりがいるから...ですか?」
キッドにそう言われるとは思っていなかったのか、Aは目を見開きキッドを見つめた。
「以前、そうやって言って自分の身を投げた。また同じことをして周りの人を悲しませるのか?」
「以前...?...貴方"前の私"を知っているの?」
次に目を見開くのはキッドの番だった。
そして、キッドは辛そうに眉を寄せるとヤギに触れていた手をAの手に重ねた。
「"私"は貴方が飛び込んだ所しか知りません。しかし、貴方の友達の...彼なら知っているのではないですか?」
「彼...黒羽くんのこと?」
「少なからず、彼は知っています。前の貴方も、そして、今の貴方も。そして彼は、どちらの貴方も大切に思っています。...だから絶対にもう、自分を犠牲にすることなんて考えないでください。」
真剣な表情で言われ、Aは頷くことしか出来なかった。
そしてその頃、コナンは警視庁に工藤新一として電話をかけ、ヘリに乗せて欲しいと頼み込んでいた。
「…おい、どこに工藤新一がいるんだよ。オメーだろ工藤新一は」
キッドは呆れた表情でコナンにそう言った。
「だーかーらー、オレに化けてくれって言ってんだよ。飛行船に着くまででいいから」
「ったく………またオメーに化けんのかよ…」
「え?」
「あ、い、いや……手を貸すのはいいが、オレの仕事の邪魔すんじゃねえぜ?」
「そいつは保証できねぇけど…」
なるべく努力するよ!とコナンは満面の笑みを浮かべ、そんなコナンを、キッドは疑いの目でみた。
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御坂ナツキ(プロフ) - 木実こむぎ@Project KZ副隊長さん» ありがとうございます!とても嬉しくて執筆の励みになります!!頑張ります!! (2019年8月19日 21時) (レス) id: 7ae93b89fc (このIDを非表示/違反報告)
木実こむぎ@Project KZ副隊長(プロフ) - はじめまして!少し前から読ませていただいている者です。このお話の独特な雰囲気がどストライクです!これからも楽しみに待ってます! (2019年8月19日 18時) (レス) id: 7f9bbdec25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御坂ナツキ | 作成日時:2019年8月14日 21時