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スカイデッキにある、数段高くなった舞台に警備が何人か立って真ん中のショーケースを守っている。
我先にと駆け寄ろうとした吉田さんたちは警備の指揮を執る怪盗キッド専門と言ってもいいほど、現場にいる中森警部に足止めをされていた。
「お宝見せろよ!」
「子供が見るもんじゃない! ...あ!おいアンタ!」
「あ...」
鈴木次郎吉さんにずかずかと詰め寄り文句を連ねようと息巻く中森警部に隣のAが反応した。
「紹介しよう」と私たちを宝石のショーケースの前へ案内した次郎吉さんは中森の制止する素振りはなかった。
「あれが今回、奴をおびき寄せるラピスラズリ、ビックジュエル、天空の貴婦人レディー・スカイじゃ!」
ケースの中、真っ白なマネキンの手にはめられた綺麗な指輪はきらきらと輝いていた。
「うわぁー、きれーい!」
「金色の粒の中で一番大きなもの、何かに似ておらんか?」
「えー?」
「あ! 女の人の顔に見えるー!」
「それがレディー・スカイの名前の由来じゃ!」
ペラペラと説明をしている中、私はAに先程の反応について問うてみた。
「ねぇ、中森警部のこと知っているの?」
「あの人、中森さんのお父さん」
「あら、あの中森青子さんの...。そうだったのね」
中森警部はAに気づいていないようで、ビックジュエルや、キッド対策のグッズに夢中だった。
一通り見終わったらしいので、デッキに戻ることになった。
「...哀」
「A?どうしたの」
「おや?もしかして君は...この前泊まりに来た青子の...」
「中森さんのお父さん。...どうも」
「やっぱり灰原Aちゃんか!来ていたのか...」
中森警部は、Aと少し話したあと、ほかの警官に呼ばれて去っていった。
その様子を目で追ってぼうっとしている、Aの服の裾をクイッと引っ張り意識をこちらに戻した。
「さっき、どうしたの?」
「...別に、なんでもない」
そう言い残して、出口へと歩き出したAの後ろを追いかける。
変な、A。
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御坂ナツキ(プロフ) - 木実こむぎ@Project KZ副隊長さん» ありがとうございます!とても嬉しくて執筆の励みになります!!頑張ります!! (2019年8月19日 21時) (レス) id: 7ae93b89fc (このIDを非表示/違反報告)
木実こむぎ@Project KZ副隊長(プロフ) - はじめまして!少し前から読ませていただいている者です。このお話の独特な雰囲気がどストライクです!これからも楽しみに待ってます! (2019年8月19日 18時) (レス) id: 7f9bbdec25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御坂ナツキ | 作成日時:2019年8月14日 21時