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「それにしても、こんな飛行船からの中継がたったの三人とはね」
「仕方ないんじゃないの? ほら、あの件…」
あの件というのは今から一週間前、ネットに予告を出したテロリスト集団『赤いシャム猫』が殺人バクテリアを盗んだあと研究所を爆破し、七日以内に次の行動を起こすと発言したこと。
子供に感染しやすいだとか、言っていた。
哀からは私も気をつけないといけないと言われていた。
そして、今日。約束の期限の最終日。
私は特に気にすることも無く、ぼうっと話を聞いていたが、周りはその話題で盛り上がっていた。
黒い服を着た人を数人連れて鈴木次郎吉さん、が顔を顰めながら来た。
「次郎吉おじさま!」
鈴木次郎吉さんが来たことに気がついた水川さんたちが近寄っていくのを横目に私は、もう1度空を見た。
「どーもどーも、鈴木相談役! 本日はよろしくお願いします!」
今、中森さんは何をしているんだろう。
周りの話を軽く聞き流しながら流れる雲を見ながら、昨日話したことを思い出した。
「えーっ!鈴木財閥のあの飛行船乗るんだあ!Aちゃんすごい!」
「知り合いが、乗せてくれるって」
「へぇ〜...どこまで行くの?」
「大阪、らしい。大阪にいる知人とその後観光するらしいけれど...」
「わぁ、大阪かぁ。いいなあ」
「ん?なんだA、大阪行くのかよ?」
「あ、快斗。Aちゃん、明日鈴木財閥の飛行船で大阪行くんだって!」
「えっ?!鈴木財閥の飛行船...?!」
「...?黒羽くんどうかした?」
「あっ、いや...楽しんでこいよ!その飛行船確か、怪盗キッドの予告があったらしいってどっかで聞いたから!もしかしたら会えるかもな!!」
「まーた怪盗キッドォ?!青子、アイツのどこがいいのかわかんない!」
「なんだとぉ〜?!A!怪盗キッドはかっこいいんだぞ!しっかり見てこいよ!?」
「Aちゃん!あんなやつ見なくていいからね!!」
「...、A!」
はっと、哀に呼ばれる声に気づいた。
心配そうに、私を見上げる哀にごめんなさいと謝ると、ビックジュエルを見に行くからと手を引かれた。
暖かい手に引かれながら、私はその場を離れた。
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御坂ナツキ(プロフ) - 木実こむぎ@Project KZ副隊長さん» ありがとうございます!とても嬉しくて執筆の励みになります!!頑張ります!! (2019年8月19日 21時) (レス) id: 7ae93b89fc (このIDを非表示/違反報告)
木実こむぎ@Project KZ副隊長(プロフ) - はじめまして!少し前から読ませていただいている者です。このお話の独特な雰囲気がどストライクです!これからも楽しみに待ってます! (2019年8月19日 18時) (レス) id: 7f9bbdec25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御坂ナツキ | 作成日時:2019年8月14日 21時