〇初めての姿 ページ23
「黒羽くんは、一体どこまで聞いているの?」
目の前に座っている女子小学生はその年齢と見た目ににふさわしくない口調で俺にそう問いかけた。
「…一度死んでるって事と、人造人間ってことかな」
「あら、ならもう説明はいらないかしら?」
「いや、一応して欲しい。」
そう返せば、ふっと笑を零したあと紅茶に口をつけた。
俺も美味しいバームクーヘンを頬張り、紅茶で流した。
「Aは、私がたまたま作り出した私を元にした人造人間って所かしら。見た目が似ているのも、それが理由。」
「へぇ」
「ミステリートレインに行ったのは知ってるわよね?」
「あぁ、その前日に電話で話してたからな」
俺も列車に乗ってたとは言えない。
哀ちゃんなら尚更だ。
「その際に爆発に巻き込まれて、木っ端微塵。…巻き込まれたと言うよりあれは死にに行ったようなものだったけれど。」
「…」
「その後、前々から二人で研究していた再生能力を使って何とか今のAの形を取り戻したわ。少し不具合があるみたいだけど」
不具合。
それはもしかして、俺がこの前感じたものなのかもしれない。
でも、AはAだ。
俺にとってそれは変わらないものだった。
「学校のAの様子はどうなの?いつも一緒にいてくれてるみたいだけど」
「しっかり授業受けてるよ。周りと馴染んだりって言うのは少し難しいみたいだけど、俺や青…中森青子っていう子だったりが着いてるから」
「中森青子…彼女にもとても感謝してるわ。あの子、彼女とお揃いらしい服と貰った花をすごく大事にしてるみたいだから」
「…花?」
青子が花を渡す?
少し有り得なくて、聞き返すと首を少し傾げた哀ちゃんは言った。
「青い薔薇のプリザーブドフラワーよ。」
「っ!」
「情緒不安定になっていた時も肌身離さず持っていたから、よっぽど大事にしているみたいね」
俺があの時あげた薔薇を、今になってもまだ持っていてくれたのか。
それがすごく嬉しくて、口元が少し緩んだ。
「よかったら、覗いてきてあげて。あまり見せるようなものでは無いけれど。」
「あぁ、ありがとう。そうするよ」
哀ちゃんがお茶を片付けようと立ったのを見て、俺も立ち上がり(知ってるけど一応)部屋を教えて貰って、例の地下室のドアを開けた。
やはり薄暗い部屋の中に、ぽつんと明るい青白い光が浮かんでいた。
「…A」
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御坂ナツキ(プロフ) - 木実こむぎ@Project KZ副隊長さん» ありがとうございます!とても嬉しくて執筆の励みになります!!頑張ります!! (2019年8月19日 21時) (レス) id: 7ae93b89fc (このIDを非表示/違反報告)
木実こむぎ@Project KZ副隊長(プロフ) - はじめまして!少し前から読ませていただいている者です。このお話の独特な雰囲気がどストライクです!これからも楽しみに待ってます! (2019年8月19日 18時) (レス) id: 7f9bbdec25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御坂ナツキ | 作成日時:2019年8月14日 21時