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何も言わないAに、既視感を覚え涙でぐちゃぐちゃになった顔を上げる。
「…っ」
ポロリと、Aの右目から涙が零れた。
その後、ポロポロと流れていく涙は白い頬を伝って落ちていく。
「A…」
「黒羽くんは、」
潤んでポロポロと涙が零れ落ちる目がぶつかり合う。
どきりとした。
「黒羽くんと居ると、苦しい。あの花を見ていても、こうしていても、涙が止まらないの。」
「…A」
「はじめて、こんなのはじめてなの」
いつもの様に見える顔も、どことなく苦しそうに話すA。
なんだか、俺も苦しくなってきた。
その後、涙をふいて授業に戻った。
俺ほど泣いていないAは直ぐに戻ったが、ぐちゃぐちゃに泣きじゃくった俺は目も鼻も赤かったから、少し落ち着くために遅れていくことにした。
静かになった屋上で1人、風に当たりながら一息つく。
傍から見れば、男女2人が涙でぐちゃぐちゃになりながら抱き合っている(ようにみえる)構図で、変な感じだったと思う。
でも、Aと少しだけ心を通わせることが出来たと思う。
少しだけ知れたと思う。
そう思えば、やっぱり嬉しくて口角が自然に上がってきた。
心が軽くなったような気がしたんだ。
これで、良かったんだ。きっと。
俺は立ち上がって、屋上から立ち去った。
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御坂ナツキ(プロフ) - 木実こむぎ@Project KZ副隊長さん» ありがとうございます!とても嬉しくて執筆の励みになります!!頑張ります!! (2019年8月19日 21時) (レス) id: 7ae93b89fc (このIDを非表示/違反報告)
木実こむぎ@Project KZ副隊長(プロフ) - はじめまして!少し前から読ませていただいている者です。このお話の独特な雰囲気がどストライクです!これからも楽しみに待ってます! (2019年8月19日 18時) (レス) id: 7f9bbdec25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御坂ナツキ | 作成日時:2019年8月14日 21時