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文化祭の準備や夏期講習で、休み前と変わらないくらい学校に通った7月。急いで進めたかいもあって、終わる頃には準備はだいぶ進んでいた。
8月はお盆が終わるまでは夏期講習も準備もお休み。風磨くんともしばらく会わない……ことはなく、期末試験前に約束した夏祭りに出掛けたり(そしてそこで告白されてしまったり)、別れ際に次の約束をしたりして、凪沙よりも風磨くんに会う事の方が多くなりそうだった。
そう、今日は告白されてから初めて会う日。「カフェの店員さんはどんな風に接客するのか観察しに行く」なんて名目でカフェ巡りが決まった。
告白されてしまった、なんてサラッと流してしまってるけれど、正直頭の中はずっと混乱している。風磨くんと隣の席になって、放課後に遊んたりするようになって、勝利以外にこんなに仲良くなった男の子は風磨くんが初めてだった。
風磨くんといると、いつも笑ってる。揶揄われることもあるけど、風磨くんの話はいつも面白くて、私の学校生活は去年よりも明るくて楽しいものになったと思う。
何故か、風磨くんと過ごす放課後は、いつもより輝いて見えるような気がして。一瞬で過ぎてしまうから、一生覚えていたいと思う、大切な時間。
だから、風磨くんに巻き込まれた形ではあるけど、文化祭の実行委員も大変だけど楽しいと思う事の方が大きくて。
クラスの皆の力になれてるかは分からないけど、風磨くんと作戦会議をして、それをクラスの皆と共有してひとつずつカフェの準備を進めていくのは楽しい。これはきっと、高校生の時にしか味わえないものだから。
来年には受験生だから、こんな風に全力で文化祭に打ち込めるのも今年までだろう。そう思うと、私だけではやろうと思わなかった実行委員にさせてくれた風磨くんには感謝さえ感じる。……とはいえ、やっぱり事前に断りは欲しかったのが本音だけど。
私が風磨くんに抱いているのは、そんな感謝の気持ちと憧れと。好き……は、まだ自分の中では曖昧だ。
けれど、生まれて初めて男の子に告白されて、意識しない訳なんてなく。私は夏祭りの夜からずっと風磨くんの事ばかり考えてしまっている。
「普通に、普通に……」
待ち合わせ場所に向かうだけでも心臓がバクバクしている。私今日ずっと挙動不審なんじゃないか?
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