▽ 文化祭、始まる ページ21
ついに始まった文化祭は、開店から大忙しだった。
昼近くから始まったこともあり飲食店はやはり人気なのと、部活に入っている子達は宣伝までしてくれたらしい。早々に行列が出来て、キッチンスペースでは声が飛び交っている。
シフトを回しながらも気を使って早く戻ってきてくれる子もいて、それでも一日目が終了するでは落ち着かなかった。お客さんの引いた教室の中で、みんながぐったりと座り込む。
「疲れた……」
「え、明日もこれ?」
「明日は朝からって知ってた?」
「言うなよ〜忘れてたのに〜〜」
クラスメイトの会話に思わずくすりと笑ってしまう。明日は朝からだから、今日よりもハードかもしれない。
「まあまあ1日目の売り上げ聞いてやる気出そうぜ。Aと凪砂さん、計算出来た?」
「ちょっと待って、今数えてる!」
ジャリジャリと小銭の音を鳴らしながらお金を数えていた凪砂が叫んだ。見兼ねて手伝ってくれた女子数人と、数えたお金を足して行く。
「……8万5200円」
合計金額を伝えれば、教室内が静まり返った。しばらくして、誰かが「……ってすごいの?」と呟く。
「一日で150食売れたらすごいよねって言ってたのを越してるから、めっちゃすごいと思う」
「「……おお〜」」
メニューや準備する品数を決める時に先生や先輩から集めた情報と風磨くんとの相談内容を思い返しながら伝えると、皆があまり分かってなさそうな表情で頷いた。まあ、文化祭でお店出すのなんて初めてだから、私自身も凄さはよく分からない。
「一位近付いてるってことだよ!」
「そうじゃん!」
「皆明日に備えて今日は早く寝ろよ!」
風磨くんが楽しそうにそう言って、ドタバタのまま文化祭一日目は終了した。
・
二日目は、昨日と比べると穏やかに始まった。
今日は体育館でのステージの出し物も多い。吹奏楽部の演奏もあるし、有志の漫才やバンドは結構ハイクオリティなので毎年人気だったりする。
「Aちゃんと風磨、休憩行ってきたら?」
昼には混むかもしれないから今のうちにストック作っとこう、なんて相談をしていたら、ホール担当の女の子がそう言った。え? と二人揃って首を傾げていると、周りのクラスメイトも頷いている。
「昨日ずっといてくれたし」
「吹部は昼からだから私ら居れるよ」
「今しかないし行ってこれば?」
354人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ