▽ 夏祭り ページ33
期末試験が終わって、夏休みに入った。
数学は勝利のおかげで赤点を取ることなく、その他の教科も普段と変わらない点数を維持することが出来た。試験の後の少し気の抜けた授業を１週間ほど受けて、終業式を終えると夏休み。７月は補講や宿題をこなしているといつの間にか過ぎてしまい、気付けば８月を迎えていた。今日は10日。風磨くんと夏祭りに行く約束をした日だった。
待ち合わせは駅の改札口。日陰に入り、チカチカと光るロック画面を見る。『今着いた！』というメッセージの通り、改札からは人が出てくる。
「よっす。お待たせ」
ぼんやりとその波を眺めていると、浴衣姿の男の子がこちらを見て手を振った。スタスタと近付いてくるその人は予想通り風磨くんで、サラサラの髪を揺らして微笑む。
「風磨くん久しぶり」
「久しぶり」
補講ぶり？ だねぇ。そんな会話を交わして、風磨くんがじ、と私を上から下まで見つめる。風磨くんが浴衣であるように、今日の私の装いも浴衣だった。毎年夏祭りには浴衣を着ているから慣れたものだけど、見せる相手が違う。どこか嬉しそうにこちらを見つめる視線に、耐えきれなくなって足元の下駄の結び目を視界に映した。
「浴衣、かわいい。似合ってる」
「へっ。は、あ、ありがとう……」
「ふは。カタコト」
言われ慣れてない褒め言葉に目線があちこちへ泳ぐ。挙動不審な私を面白そうに見下ろした風磨くんも、浴衣が似合っている。それをやっぱりカタコトになりながら伝えれば、風磨くんは一層嬉しそうに笑った。
「ありがと。じゃあ行きますか？」
「うん！」
駅からお祭り会場の神社へは10分ほど。近づくにつれ、同じく浴衣姿の親子や中学生が増えてくる。
浴衣のせいでいつも以上に狭い歩幅。カランコロンと下駄を鳴らしながら、風磨くんはゆっくりと歩いてくれていた。
「最初は何食べる？」
「出店色々あるよ！ かき氷、焼き鳥、唐揚げ、たこ焼き、焼きそば。あとは金魚掬いもあるしスーパーボールもある」
「へー。射的は？」
「射的はあったかなぁ」
私も勝利もしないからな。うーんと去年見た出店を思い返していると、トンっと肩を誰かとぶつけた。
「おわあ」
「っと、大丈夫？」
衝撃のままふらりと前に転びそうになった私の腕を風磨くんが掴む。ぐい、と引き寄せられるとそのまま風磨くんの胸元にぽすりと収まった。
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ハル(プロフ) - ハッピースクールさん» ハッピースクールさん！こちらも来て頂いてありがとうございます(^^)頑張ります！どうぞよろしくお願いします( ´ ▽ ` )ﾉ (2021年8月22日 21時) (
レス) id: c9566d77ee (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 名無し96398号さん» コメントありがとうございます！全部読んで下さったんですか！？ありがたや…！無理しない程度に頑張ります！のんびりお付き合いくださいね(*^^*) (2021年8月22日 21時) (レス) id: c9566d77ee (このIDを非表示/違反報告)
ハッピースクール(プロフ) - ハルさんのお話大好きで、新作楽しみにしてました。頑張ってください (2021年8月22日 2時) (レス) id: ce9527749f (このIDを非表示/違反報告)
名無し96398号(プロフ) - 勝利くん担でハルさんのお話全て読ませていただいています！今回もものすごく楽しみです、、！無理しない程度に頑張ってください！！ (2021年8月21日 23時) (レス) id: 55f375899c (このIDを非表示/違反報告)
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