▽ ページ32
「え、なんで知ってるの」
「さぁ、なんででしょう……って言いたいんだけど。たまたま通りかかって、聞こえちゃっただけ」
「……駅前？」
「コンビニ行く途中にね。良かったね」
目を伏せてそう言った勝利は、グラスをテーブルに置くと再びシャーペンを手に取った。休憩というほど休んでもいないけど、つられて私もシャーペンを握って問題に視線を落とした。
あの約束を勝利にも聞かれていたことが、「良かったね」と興味なさげに送り出されたことが何故かとてもショックだった。少しくらい残念そうにして欲しかったなんて思ってしまった。風磨くんの誘いに頷いたのは自分なのに、勝利は幼馴染なだけなのに、私は何を考えているんだろう。
なんだか自分が悪女に思えてきた。２人の気を惹きたいなんてどうかしてる。好きでもないのに……好きじゃない、のか？ 自分のことなのに分からない。
「うー……」
「どしたの、どっか分かんない？」
「自分のことが……？」
「はぁ？」
額に手を当てて自己嫌悪に陥っていると、向かいの勝利が首を傾げた。「今は自分探しよりもテスト勉強を優先させた方がいいと思うよ」なんて正論を言われてしまい、意識を手もとの問題集に向ける。
「けどね、勝利。私ってめちゃくちゃ最低かもしれないんだよ」
「何の話だよ。別にそんなことないと思うけど」
「勝利は気付いてないだけだよ。私も今気付いたんだから」
「そんなことない」
うだうだとした私の言葉に、勝利はやけにキッパリと否定した。思わず顔をあげると、小さく微笑みを浮かべた勝利がこちらを見つめている。
「俺、A以上にAのことが分かる自信あるからね」
「嘘だぁ」
「嘘じゃない。ずっと隣で見てきたんだから分かるよ」
ふふ、と目を細めて笑うから、それ以上なにも言えなくなってしまった。確かに、この幼馴染は私のことなんていつもお見通しで。私は勝利のこと、勝利以上には分かっていないのにな。
「だから、今日中に数学を解決しておかないと前日の夜に俺に電話を掛ける羽目になるね」
「うわあ……目に浮かんだ」
「でしょ。ほら勉強する」
数日後の未来予想をしてみせた勝利は、ずい、とこちらに身を乗り出し次のページの解説を始めた。
目の前で揺れるふわふわの髪と長いまつ毛を眺めながら、ずっとこのままの距離感で過ごせる関係でいられたら良いのになぁ、と思った。
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ハル(プロフ) - ハッピースクールさん» ハッピースクールさん！こちらも来て頂いてありがとうございます(^^)頑張ります！どうぞよろしくお願いします( ´ ▽ ` )ﾉ (2021年8月22日 21時) (
レス) id: c9566d77ee (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 名無し96398号さん» コメントありがとうございます！全部読んで下さったんですか！？ありがたや…！無理しない程度に頑張ります！のんびりお付き合いくださいね(*^^*) (2021年8月22日 21時) (レス) id: c9566d77ee (このIDを非表示/違反報告)
ハッピースクール(プロフ) - ハルさんのお話大好きで、新作楽しみにしてました。頑張ってください (2021年8月22日 2時) (レス) id: ce9527749f (このIDを非表示/違反報告)
名無し96398号(プロフ) - 勝利くん担でハルさんのお話全て読ませていただいています！今回もものすごく楽しみです、、！無理しない程度に頑張ってください！！ (2021年8月21日 23時) (レス) id: 55f375899c (このIDを非表示/違反報告)
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