夏色サイダー【Shori.S & Fuma.K】

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隣のクラスの勝利は私の幼馴染だ。

　家が向かいで、お母さん同士の仲が良くて物心ついた時から隣にいた。幼稚園、小学校、中学校と一緒の所に通って、約束した訳でも示し合わせた訳でもないけど高校も同じ所に進学した。

　中学の時から陸上部で長距離をしていた勝利は、陸上部が強いと評判だったから選んだのだと思う。私は単純に偏差値的な問題と、見学の時に案内してくれた先輩が優しくて決めた。家からは結構遠いこの学校を選んだのは私たちだけで、勝利以外同じ中学の人はいない。


　そんな、唯一の同級生で幼馴染である佐藤勝利という人は、嘘みたいに顔が綺麗だ。

　小学生の時から、都会の方へ出るとたまにスカウトされている時があった。学校ではみんな名前と顔を知ってたし、長距離の大会に出れば他校のマネージャーさん達が勝利を見にやって来たりする事もあった。

　歳を重ねることに勝利は綺麗な顔になっていって、高校に入学してからはこれまで以上に目立つようになって。

　１年の時は、勝利を巡って女子の間で一悶着あったりした。仲良くなろうと近付いたりするグループ同士がピリピリしたりして、体育祭や学祭の準備期間のクラス内の雰囲気は最悪だったらしい。イケメンって大変だな。

　せめて性格が悪かったり暗かったりしたらこんなにも人気は出なかっただろうにと思うけど、幼馴染の贔屓目無しでも勝利は誠実な優しい人で。２年になってからも水面下で繰り広げられている勝利を巡る争いに気付かないフリをしながら日々を過ごしている。


　私はというと、中学時代の経験からこうなることを想定して入学前から知り合いである事は隠そうとお願いしていた。

　勝利は「なんで？ ただの幼馴染なんだから堂々としてれば良くない？」と嫌そうだったけれど、「私に一人も友達が出来なくてもいいの？」と脅したら渋々了承してくれた。

　そういう訳で、学校では極力話さない私たちを幼馴染だと知っているのはお互いのごく一部の友達だけ。幸いにも、２年になってもバレていないお陰で、私は平穏な学生生活を送る事が出来ている。

▽→←▽　幼馴染のはなし

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