夏日影。

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一度だけ聞いたことがある。私のどこが好きなのか。なにが好きなのか。










"理由なんてない。どこが好きとかなにが好きとか考えたこともないな"


"ふーん"


”でもなんか、一緒に居たいと思っちゃうんだよね。Aの心に俺が居たいって思う"


"..................やっぱ呼び捨て付けやめない？"


"急に？！"


"うん、急に"











わざとらしく話を逸らしたのは照れ隠しだったと思う。あとは彼に対する後ろめたさ。一人で次の幸せに行くなんて、それも彼によく似た笑顔をする人に。そんなの許されるはずがないなんて思った。


誰に、許されたいのかさえもわからないくせに。
















HS「ねえ、なんで呼び捨てダメなの？」



「..................なんとなく」



HS「なんでよー！」



「なんとなくは、なんとなくです」
















だって呼ばれるたびにドキッとするから。
















HS「_______________A、」



「..................」



HS「ダメ？」



「..................ダメ」



HS「どうしても？」
















惑わすような表情で私の顔を覗き込んで、ゆっくり、ゆっくり、もう一押しと言わんばかりに触れた右手。ホシくんはいつも私の手を遠慮がちに握る。


ねえ、わかってやってる？それとも自然にやってる？


別にどっちでもいいけど、それが作戦とわかっていても罠に掛かかってしまうよ。上手だよね？本当に。
















HS「ねえ、A。どうしてもダメですかー？」



「もーやだ」
















勝手にしてください。










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