第七話 ページ8
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僕は暫く動けなかった。
文字も歪んでいることから、短冊にこの言葉を書いてからくしゃくしゃに丸めたのだろう。
どうして。
それは分からないが、でも、
何だか僕が無償に泣きたくなった。
「ん？誰か戻ってきたのか―――ってお前か」
ハッとして、声のする方を向けば、
そこにいたのは木葉さん。
急だったので、僕は短冊を隠すのを忘れてしまっていた。
「あー…、もしかして、見た？」
木葉さんは僕の手元を見て恥ずかしそうに人差し指で頬をかく。
僕は勢いよく頭を下げた。
「す、すみません…！」
「や、全然いいんだ！逆にごめんな」
そんなもん見せちまって、と僕に近づくなり短冊を取り上げた木葉さん。
僕は何て声をかけたらいいか分からず、口を噤む。
「ほら、前に言ったろ？本当だったらAに会えてた筈なのに、会えなくなったってやつ。割と俺的にはショックでさー、寂しくなっちゃって！」
ははっ、と笑う木葉さん。
後ろ姿なので、表情は伺えない。
「ちょうどそん時に短冊渡されてさ、それはもう無意識！こんなこと書いちゃってて俺も吃驚よ」
そして、くるりと僕の方を向いた。
「こんな願いを短冊に、なんてバカバカしいだろ？
だから捨てようと思って丸めたんだけど、」
―――捨てられ無かった。
やるせない笑みを浮かべる木葉さん。
「女々しいよなー俺も！
あ、これ他の人に言うなよ？恥ずいから！」
はい、と僕は精一杯の思いで頷いた。
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ピピヲ - 目がダム崩壊してしまった‥ (2021年9月4日 1時) (
レス) id: a43c101a22 (このIDを非表示/違反報告)
な - 素敵なお話に出会えて良かったです。角名くんのも読んだのですが、そちらもすごく素敵で何回も読み直してます。 (2021年5月5日 22時) (レス) id: 2daba95e6b (このIDを非表示/違反報告)
柚羽(プロフ) - 投稿されてから時差があり恐縮ですがコメントさせてください。翠々さんの紡ぐ言葉が大好きです。角名くんの作品も拝読しました。素敵なお話に出会えて幸せです。ありがとうございました。 (2021年2月27日 1時) (レス) id: 12953759de (このIDを非表示/違反報告)
ナハマヤラ(プロフ) - 素敵なお話でした。 (2020年7月8日 22時) (レス) id: eb3cd14925 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翠々 | 作成日時：2020年7月5日 16時
