ep155 【CY Side】 ページ5
【CY Side】
体育の授業は俺の運動音痴が目立って
必ずと言っていいほどみんなの後ろで
鈍臭く、遅れていた。
夏の水泳の授業になれば
太ってたから体が水に浮いて
普段の走ったり飛んだりするよりも
泳ぐ方が得意だったけど
そんな俺を見ると
コソコソ笑ってバカにする奴もいた。
運動会になれば
俺を笑うためにわざと障害物競争に出されたり
望んでもないものに無理矢理選抜されたけど
なかでも、あのクラス対抗リレーは
本当に地獄だった。
成長期が来て、前よりは背が伸びて痩せた。
密かに努力をしてダイエットもしたし
そのおかげで身軽になったから
走るのも飛ぶのも得意になるかも、なんて
そんな考えは甘かった。
やっぱり体は人より重いし
足に鉛がついてるみたいだったし
リレーで最下位になった時
みんなしてこう言ったんだ。
「やっぱり、太っちょチャニョルだな」
「とんがり耳の太っちょチャニョルだ」
その言葉で傷ついた。
だけど1番ショックだったのは
みんなが言った言葉は
真っ先に俺が思った言葉だったってことだ。
やっぱり、俺は俺だ。
見た目が変わっても、中身は変わらない。
CY「……」
あの時…
そう、自分で思ったことが
すべての間違いだった。
人は努力をしても、中身は変わらない。
あの時のその確信が、間違いだった。
今の俺を生み出したのは
あの時の俺の間違いのせいだ。
人を傷つける行動をしても
それが俺だから、俺はそんな人間だからって
自分を正当化していたんだ。
だから…
CY「……」
そんな自分を、リセットするんだ。
もう一度
ここから
この場所から
CY「…っ…(泣)」
ごろん、と地面に横たわって空を見上げると
あの頃と同じように雲が流れていた。
絶望して逃げてきた校舎裏。
誰もいないこの場所で
みんなから笑われた悔しさと
何も変われない自分への苛立ちで
泣いて泣いて、泣いたんだ。
分厚いメガネをかけていた俺は
そのメガネでさえ鬱陶しくて
いっそのこと壊してしまおうかと思ったんだ。
壊して何も見えなくなっても
見える世界の方がよっぽど汚くて
醜い世界なんだって、そう思ってた。
希望も何もない、真っ黒な世界…
「先輩…？」
CY「…っ…？(泣)」
地面に落ちた葉や枝を
パキ、パキと踏む音がする。
横たわっていた俺はそっと顔を上げる。
するとそこには…
A「……」
CY「……(泣)」
あの時のように、Aが立っていた。
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ちーちゃん - 私、これ読んだの三回目で結末も話の流れもすべて知ってるのに毎回感動して涙流しています続きが読んでみたいです (2017年1月9日 23時) (
レス) id: bff2f62f80 (このIDを非表示/違反報告)
kimsooyeon(プロフ) - 続きがとても気になります！！更新されるのを楽しみに待ってます！！！ (2016年8月3日 16時) (レス) id: 1088c592aa (このIDを非表示/違反報告)
りんか - 続きが気になります！おもしろいです(*^^*) (2016年7月24日 8時) (レス) id: 212c6186c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：natsu
| 作成日時：2016年7月6日 3時
