ゆっくりと蝕むように (ページ3)

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今の俺も昔のおれもずっと
甘ちゃんの年下の男でしかない

そのことをいつもいろんな人に、特に本人に突きつけられる

「…っ」

意図的にはしてないだろうが、告白せずとももういっそのことコテンパンに振ってくれないかなぁと思った

「いっそひとおもいに」

続く言葉は胸の中に重く取り残されて
外に溢れることはない

自分が関係を変えるのがこわくて、
こわくてお酒の場でうやむやにして
でも伝えようとしたこともあったが

やっぱりむりだった

あの、瞳でみられて、声を聞くと…ね

「出来ないことがうれしいのか、
悲しいのか」

この想いを断ち切ろうといろんな恋のようなものもした

振り返るとあの全ても恋だった

くすぶり育ったこの異様な気持ちが
大きすぎて振り回されるだけであれもきっと恋だった

「しろはこわい」

一緒にいると

白い雫がポタポタと落ちてきて、自分の色を限りなく白にさせられる

自分がどんな色をしていても限りなく白に染め上げるのに決して同じになってくれない

あの人は唯一の白だと思う

俺は白が好きなのに怖い

とても怖い

俺と混じらないでと思う

思考や行動、どうこうなりたいわけではないのだ

俺がまじって混じり気のない色が変化してしまうのは怖いのだ

関係かわるのも怖いし、本人がもし
俺から何かしら影響を受けて変わってしまうのが怖い

そんなことはないとわかっているし、自分にもそんな力は存在しないと
わかっていた

でも、嫌なのだ

不可侵な、存在でいてほしい

人間にそれを求めるのは酷で、偶像崇拝だと嗤うしかないだろうに

ほんと俺は愚かだ

でも、

きっと、

「そのままでどんなになってもあんたはあんただ」

どこか他人を赦して、信じろと
言われれば考えずともうなづけるような信仰じみた歪んだ想いなのだ

楽屋で珍しく眠っていたようで

智に、声をかけられていたようだ

「ー…ん、ゅん、まつゆん、まつずん」

いえてないけど、彼から呼ばれるそれは特別だ

「…ふふ、ねみぃの？かわいいな寝惚けてる…」

彼は距離感がおかしいぐっと近くておれのおもいをしられたらどうなるのか

それともしっててやってるのかとおもうぐらい俺にとって残酷だ

髪を撫でながらその緩んだ表情にちょっとだけ息をのんだ