みんな違って。3（Hikaru.I）

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｢ねえ、佐久間さん最近茂木ちゃんに会ってない〜｣

｢俺もだなあ｣

｢俺、CM撮影の時見かけたくらい｣


阿部ちゃんは会ってるのか！ なんて声が聞こえてきて、ノックする手が止まる。



｢…なんか、久々なの実感したら緊張してきた｣



｢あれ、Aちゃん入んないの？｣


そう声をかけられて振り向けば、ジュースを抱えた深澤さん。



｢あ、！ 持ちます！｣

｢あー、いーのいーの。それよりドアあけてくんない？｣



そう言われて、意を決してドアを開ける。




｢ふっか、おかえりー！ …って、あれ？｣


茂木ちゃんだ〜！ なんて飛びついてきた佐久間さんの勢いで後ろに倒れる、気がした。




｢佐久間ぁ？ ダメだって言ってるでしょ！｣



何故か倒れることはなくて、安心する壁と香りが、声がした。




｢ひかる、くん｣


｢あ、今日はパソコン持ってる｣



ひひ、お散歩デート出来るかと思ったのに、なんていたずらに笑いながら、机の端っこに座ったひかるくんを慌てて追う。



｢き、今日は、岩本先生に提出です…！｣



そんな改まった私の姿を見て、みなさんの視線が集まる。



｢俺？ YouTubeじゃないの？｣


｢副社長命令で振付の手直し入れました｣


｢あれ、Aのことだったんだ。ダンス出来るやつで見直すって言われてたけど｣


｢とりあえず見て！｣



まだまだ未完成な部分が多くて、見られるのが恥ずかしくて、ひかるくんに動画を押し付ける。


と同時に、他の人にはYouTubeの最新動画のチェックをお願いして、気を逸らしてもらう。



｢助かった…！｣



なんとか、ひかるくんにだけ見てもらうことに成功。



｢ねえ、A｣

｢あ、終わった？｣


｢終わったんだけど、なんでここの1って縦じゃなくて横に直したの？｣

｢ん〜？ あ、8が漢数字の振りだったから合わせたんやと思う！｣

｢ねえ、覚えてないの？｣

｢ほとんど脊髄反射みたいなもんやから意識ないもん｣



｢失礼します…あ！ 岩本さん！ 茂木さん！｣

｢あ、マネージャーさん！｣
｢どうかした？｣


｢デート企画、最終回のロケ日決まったので…！ この日でお願いします！｣


｢…身体絞りきれてない…！｣

｢いや、そんままでええやろ｣

｢良くない…です！｣



帰ったら本気の1時間追い込みトレーニングしよう。



｢このお腹、どうにかせな…｣

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