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「私は振付ができません」


「見てもらった通り、コピーやアレンジはできます」



「お嬢さん、アップの時は振付てたじゃない?」



ふっさかんにそう言われて。

確かにアップでは振付のない曲を踊ってた。



でも、それは。


「2度と同じものは踊れないですよ」



「え? どゆこと? パニックなんだけど」


私の振付はその時の感情の写しだから。

同じ環境、条件、感情、温度感、そんなものが揃うことはもうない。



「私は即興のダンスを再現する能力が著しく欠けている。その代わりにコピー能力が顕著にでている」



だから、振付を覚えるのは難しい。しんどい。


感情で踊るから、アドバイスなんてできない。



「独特なお姫様だね」




「お? Snow Manに茂木もいるじゃん。お前ら今日の夜にメシ行ってきて」



変な空気になったところに顔を出した副社長。

あんた空気壊す天才なの?


「え? は? メシ?」


「お前ら、シュガバニってアイドル知ってる? そのグループと男女共同お食事会のアポ来てて、新人くんが取っちゃったのよ」


「変なことしないように、茂木が保護者な。マネたまには早く帰さないと」


「え? 私…?」



「だるーい。嫁見てたーい」

「俺もクイズに向けて勉強したい」


「僕も行かなきゃなの?」



「あ、ラウールはいいよ。お酒間違って飲まされたりしたら只事じゃないし。メンバーはね、岩本、宮舘、渡辺、深澤、目黒が指名されてるね。あ、あと茂木ね」



みんな嫌そう…

なんだろう、シュガバニって今売り出してるってさっきの雑誌に載ってたガールズユニットだよね。


売名かな。



「ちゃっちゃと行って、終わらせてきて。悪いけど」



そんな言葉と共に私はみなさんの移動車に押し込まれた。




「え、ちょ…作詞、したかった」



っていうか、岩本、渡辺に挟まれて座るとは聞いてない。



身体固まって動かないって…

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作者名:なあちゃむ | 作成日時:2022年4月30日 0時

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