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元々はミュージカル系の劇団に所属していた。
毎日そこで歌や踊りのレッスンをしていた。
もちろんお芝居も。
ある日、アイドルに触れた。
ただ誘われて、ライブに行っただけ。
付き添いで終わるつもりだった。
でも、アイドルの彼らはすごく輝いていて、当時の私にはないような煌めきを持っていた。
きっと努力を続けて、なのになぜかそれを見せずに、みんなに笑顔を渡して、みんなの勇気を奮い起こしているんだろうと思った。
私がそうさせられたから。
そこからアイドルに魅了されて。
地下アイドルの道を選んだ。
まだ引っ越しは出来なくて、でも今すぐアイドルになりたくて、手っ取り早いのが地下アイドルだった。
劇場の踊り子、なんて異名もついた。
「でも、私と周りとでは目指す場所が違いました」
「私は1番できる人のレベルまで全員が上げる方式が好きでした。下に合わせるとどんどん低くなるから」
「でも、周りは下に合わせて、少しでも楽をしたい人たちばかりで。」
「どっちの意見もわかることやな…」
「ある日、私のセンターの楽曲がレッスンに取り入れられました。そして、今の形、センターを軸にしたシンメでのダンスが始まりました。」
「私は相手に合わせることができなかった。相手がバク転ができるなら、私はバク宙をマスターするようなタイプだったから」
「その結果、シンメ争いからは外された。孤立した独りのセンターになった。メンバーも呆れて離れて、ファンの人も哀れみの目で私を見始めた」
だから辞めた。
1度だけ、関西ジャニーズJr.のレッスンにお邪魔した。
そのレッスンは私の求めていたダンスができた。
もちろん入所はできないけど、これをやるには今の地下アイドルではないと思った。
「だから、そう思ったその日に公演を無断欠席して辞めました」
アイドルって思った以上に大変な仕事だ。
プライベートもない、笑いたくなくても笑わなきゃいけない。
その生活が窮屈で逃げた。
「逃げた私には、もう、ダンスを楽しむ資格はないんです」
「お願いします、明日、認めないでください」
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作者名：なあちゃむ | 作成日時：2022年4月30日 0時
