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「はい、どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
チケットを買ってくれたりょうさんにお礼を言って、食べ物のカウンターに向かう。
歩いて来たからお腹空いたよねって話してて。
りょうさんがチケット、私が食料を買うことで言い合いが落ち着いた。
私が引かなかっただけなんだけど。
「りょうさん、遠慮して安いやつとか選んだらおこですからね！」
そう宣言して私も悩む。
「決まった、Aちゃんも決まった？」
そう言われて、2人で注文して食べ物を受け取る。
「も、持ちます！」
「だめ、俺が持つ」
「そんなに弱くないから持ちたい！」
「だめ、こぼしちゃうでしょ」
「そんなドジしません！」
「わかんないからだめ〜」
そんな会話を繰り広げながらりょうさんを追いかける。
と同時に、後ろからすみません！ って言う声。
「え？ あ、はい？」
りょうさんは聞こえていなかったみたいで先に行っちゃうけど、周りには私しかいないし多分私が声かけられたはず。
戸惑いながら振り返れば、女の子2人組がいて。
「これ！ 落としてないですか！？」
目の前に差し出されたライター。
「あ、ありがとうございます！ どこに落ちてました、、？」
「あの、カウンターの下くらいで、お姉さんが並んでた後に見つけて、、」
「ありがとうございます！ 助かりました！」
正直私のではないライターを受け取って、その場を離れる。
後ろをついて来ていないのに気付いたりょうさんも真後ろにいたので2人でその場を離れて。
「ねえ、Aちゃん、喫煙者なんだ？」
前を向いたまま質問されて。
「へっ！？ 違いますよ？ これお店の人に預けていいですか？」
予想外の言葉に反応しながらもさっきのライターを落とし物として渡すために映画館の人を探す。
「え、じゃあなんで受け取ったの。タバコ吸う人になるじゃん」
「いや、あの女の子たち勇気出して声かけてくれたと思うのでとりあえず受け取って落ちてた場所だけ聞いて、私がお店の人に届けたら誰も傷つかないかなあと思って、、、すみません」
私なりの善意のつもりだったけど、他人から見ればりょうさんの言う通り。素直に謝って。
「え？ そういうこと？ うわ、周り見えてるのAちゃんの方じゃん、ごめん、、！！」
謎に謝られて。
「お店の人見当たらないんで、入場の時に渡しますね」
そう言って、入場口へ向かうことにした。
りょうさんはずっと謝ってたけど。笑
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作者名：なあちゃむ | 作成日時：2021年11月6日 4時
