偶然鼎立。（Ryohei.A）#2 (ページ43)

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りょうさんは既に下についていて、1番近いクラゲさんの水槽を見上げている。

なんとか気合いでそこまで到達して、隣に並ぶ。

「こんなに暗いと流石に俺ってバレないんだろうな」

そう言って悪戯げに笑うりょうさん。

私は正直それどころではなくて、あはは、、、なんて乾いた笑いしか返せず。

次の水槽へ颯爽と移動しようとするりょうさん。

「ん？ Aちゃん、、、？」

りょうさんは次の水槽へ行く足を止めて私に不思議そうに声をかける。

「あっ、ごめんなさい、、、なんでもないです！」

怖さが限界を超えてしまい、咄嗟に離れていくのが怖くてりょうさんのスプリングコートの裾を掴んでしまった。

その衝撃が伝わったのだろう。

「あの、、もしかして、だけど」

りょうさんがそう口を開いたのを防ぐかのように口火を切る。

「本当は、、暗いところが、根本的にダメで、、、ごめんなさい」

暗いところがダメとか子どもかよって思われるかな。

自分の思い通り動けなくてイラついてるかな。

ぶりっ子すんなよって思われてるのかな。

いろいろな思いが瞬間で頭をよぎって、りょうさんの声を聞くのが怖くなる。

「え！？そうなの！？めっちゃごめん！それおれ最低じゃん、、、」

ちょっと焦ったような申し訳なさ全開の声が聞こえてきて。

恐る恐る目線をりょうさんの足元から表情へと移す。

「お、怒らないの、、、？」

「え？なんで？っていや！それよりどうしたらいい！？動くの怖いよね、嫌かもしれないんだけど抱っこしたらいい？え、まじで待ってどうしよう、、、」

半パニック状態のりょうさんがいて。
全く怒らなくて。

この人は信頼していい人なのかもしれない、と感じた。

「あの、、ここ握っててもいいですか？皺になっちゃったらダメなので軽くでいいので、、、」

そう言ってさっきのコートの裾を握ってみる。

「え？じゃあこっちの方がいいんじゃない？どんなに強く握っても大丈夫だよ？」

そう言ってりょうさんは私の手を取った。

「え、、、？」

よし、これで行こ！まだ怖かったらすぐ強めに握ってね！なんて言ってりょうさんは次の水槽へ私を連れて行く。

手、繋いじゃってるんですけど。