偶然鼎立。（Ryohei.A）#2 (ページ25)

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阿部亮平
『もうすぐ着くよ。もう着いてる？』

阿部亮平
『俺着いたよ。どこかにいる？』

阿部亮平
『あれ、Aちゃん？大丈夫？』

外で読書に夢中だった私。
まあ、電子書籍ではあるんだけど。

りょうさんからの通知に気付きもせず、お話の世界に入り浸っていた。

「あ！なんだあ、いるんじゃん〜」

そんな言葉が聞き慣れてきた声で発されて。

私の耳は運良くその音を拾った。

「あ、、、りょうさん。おはようございます』

電子書籍リーダーをしまって、りょうさんに挨拶する。

「連絡つかないから、急いで向かってるのかと思って焦った」

そう言われて、はっと気付いて鞄の中の携帯を取り出すと。

ロック画面に表示されるりょうさんからのメッセージ。

「すみません、、、全然見てなかった」

「まあ、会えたし大丈夫だよ」

そう言ってマスク越しに笑顔をむけてくれるりょうさんは続けてこんな言葉を放った。

「で、どれくらい待った？」

「、、、え？いや、全然5分もないくらいです」

「それは嘘だ。それならAちゃんは連絡見てくれてるはず」

それは確かにそう。待ち合わせ場所についてまずすることなんて、相手からの連絡の確認だ。

で、本当は？なんて聞かれて。
正直に言っていいものか迷う。

迷った結果、言葉が出てこない私を見たりょうさんは、いきなり私の手を包んだ。

「、、、え！？りょうさんそれは、、、」

ダメです、なんて言葉を発そうとしたとき。

「冷たいじゃん。結構待ったね？」

なんて冷静に目を見て聞かれて。

「少し、、です」

認めるのも悔しくて、意地を張ってしまった。