偶然鼎立。（Ryohei.A）#2 (ページ19)

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そのあとは、みんなで振り入れしたり、音楽番組用のサイズの振り確認したりして過ごした。

そして、残り30分ほどとなったときに岩本さんが口を開いた。

「ねえ、あの、俺の振りのやつお願いしても良い？」

みんなもうヘトヘトだろうし、いいよということで改めて生の動きで見せてもらう。

「ほえ〜やっぱり動画とは違うなあ」

「愛ちゃん！感想タイムじゃなくて！」

そんな言い合いをしていたら、愛ちゃんが前に出て。

「多分、Aとの共通認識なんだけどさ、この腕って上向きの理由ある感じ？」

「いや、これは特にないかな」

「じゃあ、ここのステップは？こっちの方が踏みやすくない？」

「ああ、確かに」

「ここ、高度に見せるならだけどさ。こっちの方が難しく見えそうな気がするけどどう？」

「あと、ここの部分、動画と角度ずれてたけど、そっちの方がいいと思う」

怒涛の愛ちゃんのダメ出しパレードが開催。

愛ちゃんはより良いものをって何も怖がらずに思ったことを表現する人。

私は対照的で、思ったことをうまく伝えられず、みんなの意見をたくさん聞く人。

それぞれの役割があって、それでやっと完成形。

だからこそ、先生は必ず私たちをセットで使う。

「ごめん、多すぎた。Aは？」

言いたいところまで言い切った愛ちゃんが聞いてきて。

「大丈夫。みんなのケア回るね」

いつも通りの答え。

本当にないのかって疑われそうだけど、本当にない。

「おっけ、いつでも隠さず、愛さんにいうんだよ〜」

そう言って、少しだけ振りを固めて、今日はお開きとなった。