ヌナ。ーJISUNGー (ページ8)

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ep8 ページ8

あの日ぐらいから
父さんも母さんも仕事が忙しくなって
僕達もヌナの家で夕飯を食べることが増えた。

ヌナが夕飯を作ったり
ヌナのお母さんが作ってくれたり。

食べるだけのヒョンと僕は
“男の子だから”って甘やかされて

ご馳走になる代わりに
片付けやヌナの家の手伝いをした。

そんな風にして
ヌナとは家族のような関係になった。

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JS「あちぃ～！ヌナ、喉かわいたぁ～！」

夏休み真っ只中。

朝、ヌナに買い物を頼まれていた僕は
近所のスーパーから走って帰ってきた。

汗だく、喉もカラカラ。

JS「いないのぉ～？」

重たい買い物袋を抱えて
玄関を上がると、靴が2足。

ヌナと、多分、ヒョンの。

JS「……？」

ヒョン、いつの間に来てたんだろう？

JS「ヌナぁ…？ヒョーンっ？」

荷物を置いて靴を脱いで
ヌナの部屋の方に向かう。

汗を掻いた素足が
床にペタペタ、音が響く。

JS「ヌナ？」

ヌナの部屋の前まで来た時だった。

A「嫌だっ…！」

JS「…っ…？」

聞いたことない、ヌナの声…

そのすぐ後に
ヌナの部屋から飛び出て来たヒョン。

JS「！？(汗)」

何が起きたの？

何が何だかわからなくて
走り去ってくヒョンの後ろ姿を見つめた。

JS「……？」

ヌナ…？

なんだかヌナが心配で
部屋の中を覗くと…

A「…っ…見ないでっ…」

JS「ヌナ…？」

床にうずくまったヌナの姿。

着ていたTシャツが伸びてしまって
所々見える体を腕で隠してる。

JS「…ヌナ…っ…」

きっと、見ちゃいけない。

服を着ていない女の人の体を
ジロジロ見ちゃいけないことだって
5年生にもなればわかってくる。

だから僕は咄嗟に背中を向けた。

JS「か、買って来たよ、頼まれたもの…」

A「…っ…」

JS「ぼ、僕、プールの時間だから…行ってくるね！」

…それに何が起きたかなんて
聞いちゃいけないってことも
なんとなく、わかってる。

だから僕はヌナの返事も聞かずに
逃げるように走り出した。

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その晩、ヌナはいつも通りだった。

「25m泳げたの？」
「すごいじゃん！」
「でもヌナの方が速いんだからね！」

実は勉強よりも運動の方が得意なのに
人より肩幅が狭いせいか
ヌナは僕のことをからかう。

運動会の徒競走でも冬の持久走でも
夏のプールでも。

JS「競争したら僕の方が速いよ、絶対。」

A「本当？じゃぁ勝負する？」

JS「へへんっ！かかってきな！」

A「言ったなぁー！(^^)」

…やっぱりヌナは、いつも通りだった。