ep27 【You Side】 ページ27
【ASide】
あの家に、ちぃがいない。
だから、どこにいるかわからない。
そう思っていた私は
ちぃに会う方法を探していた。
そしてその方法は
いとも簡単に見つけることができた。
事務所まで、会いに行けばいい。
そんな簡単なこと
どうして思いつかなかったんだろう？
A「うわぁ…女の子がたくさん(汗)」
事務所の前には
誰かを待つファンの子達。
その中に混じることには気が引けて
私は少し離れた場所で
遠目に眺めていた。
事務所に行けば、ちぃに会える。
だけど、事務所に行かないと、ちぃに会えないなんて。
あのお隣の男の子。
おやつを食べに来るあの子が
今では練習生だなんて。
ヌナは信じられないよ。
ちぃのことを考えながら待っていると
あの頃のいろんなことを思い出す。
虫が苦手なこととか
テストでちぃ曰く、人生初の悪い点数を取って
お母さんに見せるのを躊躇ってたこととか
いつかちぃが有名になって
カッコ付けたりし始めたら
バラしてやるんだから。
ヌナに練習生になったことを
秘密にしていた罰だよ。
あ、あと、ニンジンが苦手なことも。
絵が破壊的に下手くそで
授業で書いたお母さんの似顔絵を持って帰って
みんなに見せるのが恥ずかしいとかで
家族に内緒で私に託したこととか
全部、ぜーんぶバラしてやるんだから。
A「……」
…いつかちぃが有名になって…
どんな幼少時代を過ごしていたのか
どんな風に過ごすのが好きなのか
インタビューとかされたら…
A「……」
…ヌナのこと、話してくれる？
ちぃといた私のことを
ずっと覚えていてくれる…？
A「ちぃ…」
こんな風にちぃを待つなんて
なんだか、ヌナ、寂しいよ。
ちぃが、遠いよ…
「あっ！」
事務所の前の女の子の誰かが、声を上げる。
そっちの方を見ると
事務所の自動ドアが開いて
中から女の人が出てくる。
A「……？」
スタッフ…かな…？
その人は駐車されてる車に近付くと
自動ドアの方に「ほら、行くよ！」と言う。
すると事務所からもう1人、出てきた人影。
JS「は、はい！(汗)」
A「…っ…！！」
ちぃ！！
ちぃは自動ドアをすり抜けて
さっきの人の車に駆け寄る。
A「っ、ちぃっ…！」
ここだよ。
ヌナだよ。
ここにいるよ、ちぃ。
そう、声をかけたいのに…
そんな私を躊躇させたのは
久々に見るちぃの、こんな言葉だった。
JS「ぁ、ちょっと待ってください、ヌナ〜」
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ジェミン - 更新頑張ってください！ 応援してます！ (2015年8月20日 14時) (
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作者名：natsu
| 作成日時：2015年7月20日 1時
