ヌナ。ーJISUNGー (ページ20)

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ep20 ページ20

JS「いってきます。」

管理人さんに声を掛けると
マンションのエントランスを抜ける。

その先には今日も数人の女の人達。

僕はその前を俯きながら
足早に通り過ぎた。

父さんと母さんが離婚して
バラバラになった僕達は

ヒョンが母さんの元に
僕が父さんの元に引き取られることになった。

父さんと越して来てから2ヶ月間
二人暮らしをしていたけど

芸能事務所の練習生になった僕は
放課後に事務所でレッスンがあるから

新しい家から学校までと
学校から事務所までと
事務所から新しい家まで

それぞれ片道1時間は掛かるということもあり
今月から事務所の宿舎に入ることにした。

そしてこの宿舎の前には
毎日のように女の人達が

同じ宿舎に住む
他の練習生のヒョン達を待ってる。

JS「……」

マンションから数メートル離れてから
後ろを振り返ってみると
そこには誰も追いかけてくる気配がない。

JS「…ふんっ」

僕も練習生だっていうのに。

まぁ世間には公表されてないから
知らなくても当然か。

どうせ僕のことなんか
同じマンションに住む小学生ぐらいにしか
思ってないんでしょ、そこのヌナ達。

今に見てろーーー

…こんな風に毎朝僕は
心の中で決意をしながら学校に通った。

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MK「チソナ、今日レッスン終わったらアイス食べに行こうよ！」

同じ練習生のマークヒョンは
僕よりも3歳年上で

家族と離れて宿舎暮らしの僕を
何かと気にかけてくれる。

JS「ここの近くにアイスクリーム屋さんなんてあるんですか？」

MK「あるよ～！練習生がよく通ってるって、有名なところ！(^^)」

JS「へぇ…」

いつも練習後はヘトヘトで
事務所から宿舎まで真っ直ぐ帰ってたから
知らなかったな…

JS「ねぇ、ヒョン。」

MK「ん？」

JS「ケーキ屋さんも、近くにあるのかな…？」

MK「ケーキ屋？」

JS「うん。」

MK「なに、チソナ。ケーキ好きなの？」

JS「うん…好き…」

ケーキが好きってのもあるけど
ただのケーキじゃなくて
ヌナが作ったケーキが好き。

だからヌナに会いたくなった時は
ケーキを買って食べてたけど
宿舎の周りにあるお店を僕は知らなくて
最近はずっと食べれてない。

MK「じゃぁ、今日はアイスじゃなくてケーキにする？」

JS「ううん、ヒョンが食べたいアイスクリームでいいよ(^^)」

MK「(^^)」

それからヒョンに連れられて行った
アイスクリームのお店には
たくさんの女の人がいたけど

夏が近づくに連れて
僕も一人でよく通うようになった。