異世界から"運命の人"として召喚された運命にあらがう為、塔を登ります。 (ページ43)

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クラウンゲーム6 ページ43

本当に夜なのか確かめる為にフードを取って玉座を見る。

やっぱり、本当に夜なの

どうして塔にいるの

急な別れだったけど、私の事覚えてくれてるかな

色々な感情が自分の中に渦巻いて、思考がぐちゃぐちゃになる。
じっと夜を見つめていると、彼の腕に組紐のようなものが見えた。
あの時プレゼントしたものを今も身に着けてくれている事に胸がぎゅっとなった。

聞きたい事や話したいことは沢山あったけれど、とにかくまた再会できたことが何より嬉しい。

ブオオンッ

会場から轟音が鳴り、煙の中から飛び出したライダースーツの女性がぐんぐんと夜に近づいていくのが見えた。

血が付いたロッドを持った人が、夜に近づいている。

夜の仲間も加勢に行こうとしているみたいだったけど、他のチームに足止めされて近づけない。

あんな強い人に叶う訳ないって分かっていても、夜に危険が迫っていると感じたら自然と身体が動いた。

弓を1本取り出し、彼女に向けて構える。

ここで外したら、夜に危険が及ぶかもしれない。

絶対に当てる。

黒スーツの女性が夜の目の前に立った瞬間を狙って、着地地点の玉座を射る。一瞬驚いたようにこちらを見たが、なんでもないという風に弓を避けた後こちらへ向かって突進してきた。

私も焦って弓を引こうとするけど、もう間合いは詰められていて間に合わなかった。

ゴンッ

鈍い音が耳の奥に響き、恐る恐る目を開く。
ゆっくり上を向くと頭から血を流したハオランさんが私の上に覆いかぶさっていた。

『え...どうして...？』

「...あー、カッコ悪い助け方、になっちゃったな...」

ごめんね、と笑った後ハオランさんは気を失った。黒いスーツの女性が再度、ロッドを振りかざそうとすると彼女の脇腹にフォン君が掴みかかった。

「バカA！控室に戻れ、お前が敵う相手じゃない！！」

『フォン君！！』

ゴス、という鈍い音がして床に倒れ込むフォン君がスローモーションで映る。

あぁ、こんな強い人に手を出すなんて...
夜を守るって気持ちで勝手に動いて2人を巻き込んで...。
私は家族を失くした時から、何も変わってない。

黒いスーツの女性がゆっくりとロッドを掲げた瞬間、目の前に黒いマントの女の子が表れた。

「そんな恰好で出歩くなんて恥ずかしくないの？黒タイツ」