第二十五話 ページ27
シン、と冷えた空気に白けた空気がする。
・・・あぁ、言っちまった。
今更抑えた口からは、もうため息すら出ない。
後悔なんぞは死ぬほどしてきたせいか、もうその痛みに慣れてしまった。
痛みがないなら、後に残るのは絶望感と虚無感。
無色透明なこの感情らに蝕まれ続けた結果、俺は色素を失って自分が分からなくなった。
・・・俺は今、ついに誰からも望まれない薬研藤四郎になったんだ・・・。
「・・・初めから、そう言えばいいのに」
・・・え・・・？
耳にスッと届く、澄んだ水のような声。
ハッとして顔を上げると、人間はやんわりと微笑んで俺の頭に手を置いた。
「何ができるって言われても、確かに君達の手入れぐらいしか出来ないと思う。臨床医の資格があるわけでもなければ、僕は誰かを慰めたりするのは多分得意じゃない」
頭に置かれた手が、ゆっくりと俺の頭を撫でる。
「・・・それでもさ、鬱憤とか聞くぐらいはできると思うんだ。それで何が変わるなんて聞かれても答えられないけど・・・本音聞けて、嬉しかったよ？」
そう言ってまた笑う人間に、虚しさ以外を感じたのは言うまでもない。
暖かな色をした感情が、小さなロウソクの火のように点々と灯る。
・・・こいつは、俺の本音を聞いただけで喜ぶのか・・・。
「・・・それに、君の言った通り人は罪を犯す生き物だけど、罪を犯すのが人間なら、それを贖うのも人間なんだよ」
薬「・・・！」
「許せ、なんて言わない。ただ、いつか君達が報われる日が来るのを願うことくらいは許してほしい」
スッと手が名残惜しそうに離れ、人間はゆっくりと立ち上がる。
「さて、次にやることが決まったし、ちょっと行ってくる」
薬「え」
いや、何処に行く気だ！？
薬「どこへ行こうってんだ！？」
「内緒」
少し悪戯っぽく笑ったかと思うと、人間はさっきのか弱さの面影などなくスタスタと部屋を出て行ってしまった。
・・・なんだってんだ・・・あの人間。
・・・でも・・・
触れられた場所に触れると、嫌な気はしない。
あの仕草、一兄と似てた。
・・・また、一兄に撫でられてぇな・・・
・・・あの人間になら、少しくらい期待してもいいんだろうか・・・
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そら 。(プロフ) - 続きが気になります！更新頑張ってください！ (2019年2月14日 18時) (
レス) id: a9f1236a4e (このIDを非表示/違反報告)
猫かぶり少女(プロフ) - これは……ヤバいですね( ・`д・´)続きがすごい気になります。更新遅くても全然いいので楽しみに待ってますね!応援してます! (2019年2月3日 21時) (レス) id: e93bca515e (このIDを非表示/違反報告)
槝 - 更新がない…絶望した。 (2019年1月23日 13時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
月夜桜 - 続きが読みたいです。お願いします! (2018年8月1日 12時) (レス) id: d530b8b740 (このIDを非表示/違反報告)
槝 - 続きが読みたいなと思いました。 (2018年7月7日 22時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナトル | 作成日時：2018年2月25日 0時
