story.77 ページ41
(上鳴side)
｢上鳴くん優しいよね、上手くいってるならそれでいい、とか言ってくれるなんて。｣
｢んー？まぁ…ね。｣
｢…どうかした？｣
｢いやぁ何でもねぇよ？｣
純粋に聞いてくるAちゃんは、恐らく本当の意味を知らない。
俺達の中で俺のこの想いに気づいてるのは、恐らく切島だけだ。
好きだった、恐らく本気で。
でも好きになったのは、多分切島とAちゃんが付き合い初めてからだ。二人が付き合い始める前はただ、無邪気な顔をして笑う子だなと思ってた。
話してわかったのは、案外照れやすくて、強がりで、でも、そんな所も可愛くて。
｢Aちゃんじゃなかったら、きっとそうは思わなかったよ、俺。｣
｢どういうこと？｣
｢どういうことだろうな！｣
｢えー？｣
とぼけてみせると、訳が分からない、と思ってそうな顔を浮かべるAちゃん。
知らなくて良いよ、Aちゃんのことを応援してるのは、嘘じゃないから。
そりゃあ好きなんだから、切島と引っ付いてるとこ見るのはムカつくときもあるけど、全部が全部そうなわけじゃない。
ただ、恋してる君が好きだった。
｢私いっつもテンパると逃げたりしちゃうんだけど…なんでだと思う？｣
｢自分の感情に対して真っ直ぐだからじゃねーかなぁ…｣
｢…うん？｣
｢抑えきれなくなってるんだよ、だから冷静な場所を探そうとして逃げるんじゃね？｣
｢なるほど…！？上鳴くんやっぱり読心術持ってる！？それも個性だったりする！？｣
｢いやいやいや、俺の個性は帯電のみだから！｣
切島、早く戻ってこいよ。
Aちゃんが寂しそうに待ってんぞ。
俺はAちゃんとはこれ以上近づけないし、触れることも出来ない。でも、話すことぐらいは出来るから。
笑顔でいて欲しいな、だから応援出来るんだよ。
｢さーてそろそろ俺も帰ろうかなぁ。｣
｢あ、話し込んでごめんね。｣
｢今度は切島の愚痴でも聞かせてよ。｣
｢うわ、そんなこと言ったら二人揃って怒られるよー？｣
笑って、またね、と言ってくれたAちゃん。
俺は枢さんと違って想いを伝えたりはしなかったけど、その言葉が貰えるだけいいのかもしれない、そう思った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 303人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アヤゴン(プロフ) - とてもおもしろい作品でした！切島くんに彼女がいたらこんな感じなんだろうな~っていうイメージがぴったりでした！キュンキュンしました。是非また名取さんの切島くん小説が読みたいです。 (2018年10月3日 16時) (
レス) id: ad1b6027dd (このIDを非表示/違反報告)
名取(プロフ) - ミルクさん» 信遅れてすみません、二人の、慣れていないが故に思うようにいかない初心者のような恋愛を書いていきたいと思っていたので、そう言っていただけて嬉しいです。本当ですか…私の他の作品が少しでもミルクさんの暇潰しにでもなれば幸いです。応援ありがとうございます！ (2018年6月10日 13時) (レス) id: 100ff026ee (このIDを非表示/違反報告)
ミルク(プロフ) - はじめまして！コメント失礼いたします。完結おめでとうございます！夢主さんが切島君の言葉や態度に一喜一憂する場面、逆に切島君が夢主さんの態度に一喜一憂するなど読んでいて本当に面白かったです！次の作品も読ませていただきます！これからも頑張ってください！ (2018年6月6日 20時) (レス) id: a44e70b828 (このIDを非表示/違反報告)
名取(プロフ) - パパラチアさん» なんというか、もう本当にうれしいです...作品のことを好きでいてくれるのは私もこの上なく嬉しいですし、何より書いてよかったと心から思えます。次回作も楽しんでもらえるようにコツコツ書いていきますね、コメントありがとうございます！ (2018年6月6日 20時) (レス) id: 535f9be42a (このIDを非表示/違反報告)
名取(プロフ) - Kasumi17さん» 楽しんでいただけたようで私も嬉しい限りです、今作だけに限らず他の作品まで見てくださってありがとうございます。「なぁ、先生。」のほうでも楽しんでいただけるように更新頑張りますね、ありがとうございます..！ (2018年6月6日 19時) (レス) id: 535f9be42a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：名取 | 作成日時：2018年5月21日 1時
