48話 ページ48
Aside
「オラッ、手ェ動かせ！」
「ほんまヘッタクソやな、ちゃうって、そうやない」
「動き遅いねん、もっとはよう動け！」
午後の訓練が終わった後の訓練場には、そんな声と、ナイフのぶつかり合う音が響いていた。
シャオロンに訓練をつけてもらうことを頼んでから数週間後。普段のドレスとは違う、ラフな格好に身を包んだ私はほとんど毎日のようにここ、訓練場へと通っていた。
運動神経の悪い私は、シャオロンの次から次へと繰り出される攻撃から身を守り、受け流すことしか出来ない。いや、それでもまだ成長した方で、最初の頃なんて攻撃を受けることすら不可能だった。
そもそも力、センス、素早さ、実践で鍛えた野生の勘とも言えそうな状況判断能力。当たり前のことだが、全てにおいて完全に劣っている。
次は何処から、どんな攻撃が。そんな考え事をしてる暇もない。少しの隙を見つけて彼の次の動きを考えようものならそれすら彼に悟られ、決定的な1打を決められてしまう。
「おい、何考え事してんねんっ、休んでる暇なんてない、や、ろッ！」
今回もまた同じ。一定のリズムで繰り出される彼の攻撃を何とか凌ぎ、彼が一息ついた所で次は、そう考えてしまった。
勿論それは彼に悟られ、彼の攻撃によってナイフを持った右手が弾かれる。
大きく弾かれた右手に引かれるように、そのまま体制を崩し地面に尻餅をつく。
それと同時に、審判からの静止の合図がかかった。
「はっ、雑魚乙！」
心底楽しそうにシャオロンの口から出たお決まりのセリフ。
尻もちをついた衝撃と痛みに耐えながらも顔を上げると、息切れひとつしていない彼が、私を見下ろしながら中指を立て、ベッと舌を出していた。
うわあ、と、様子を傍で見ていた兵が心底引いた様に声を出す。
「実力の差が圧倒的なAさんに対して煽って楽しいんスか……」
審判をしてくれていたシャオロンの隊の兵が若干引き気味に彼へと声をかける。
ああん？なんて、そこら辺のゴロツキの様な声を出す彼に、訓練場内に居た兵士たちは呆れたようにはあ、と大きくため息をついた。
「ん、ヘタクソやけど段々良くなっては来てるで。ヘタクソやけどな」
「……………………どうも」
そう言って、差し出された大きな手に遠慮なく手を重ね、立ち上がらせてもらう。
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秋人(プロフ) - パスワード掛けても公開して下さってありがとう御座います。本当に好きなお話なのでうれしいです。作者様に無理のないように過ごして下さい。 (2022年3月12日 23時) (
レス) id: 3a6567d6ac (このIDを非表示/違反報告)
よにん - 前に見かけてまた見たいと思っていてまた見れて嬉しいです。応援してます！ (2020年6月24日 15時) (レス) id: 3491a11aac (このIDを非表示/違反報告)
鬼雷 - 初コメ失礼します!少し前に見つけてひっそりと応援しておりました!ストーリーが凄く好きで先が凄く気になります!作者様のペースで頑張ってください!更新されるのを楽しみにしてます!完結まで追いかけます!頑張ってください! (2020年6月24日 0時) (レス) id: 15f01a3427 (このIDを非表示/違反報告)
りんご飴(プロフ) - 茄子さん» 教えてくださりありがとうございます！！これからも頑張ってください！！他はもう素敵な話ばかりで読み入ります！もしもあったら聞かせてもらいます…！ (2020年6月17日 19時) (レス) id: c59a6d75f0 (このIDを非表示/違反報告)
茄子(プロフ) - りんご飴さん» コメントありがとうございます！ありがとうございます！泣きます(；；) 手首を掴んだのはsypさんです！いえいえ、分かりづらかったかもしれません……。ごめんなさい(；；) 分からないところがあればジャンジャン聞いちゃってください！ありがとうございました(^_^) (2020年6月16日 20時) (レス) id: 8809630e87 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茄子 | 作成日時：2020年4月6日 21時
