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33話 ページ33

zm.side

「ゾムさん、何しとるんですか」
「……!ショッピ様!」

何となく気まずい雰囲気が流れる中、トントンの到着をまだかまだかと待つ。
ゆっくりとした足音と共に舌っ足らずな声がこの場所へと近づいてくる。


視線を向けると、気だるそうなショッピが顔を歪めて立っていた。令嬢は嬉しそうな、甘ったるい声を出しながらショッピへと駆け寄る。

そんな姿に思わず顔を顰めた。
Aの意識がないからまだいいけれど、昨日といい、いやそれよりずっと前からだが、婚約者が居る男に何故そんなにも近づく?何故わざわざAの前で見せつけるような行動をとる?


もしかしてこいつ、そんな考えが浮かぶ。

もし、そうだとしたら何故?
何故グルッペンはこの令嬢が城に入ることを認めているのだろうか。
ショッピは何故、気が付かないのだろうか。



ショッピは怖かったんです、と体を擦り寄せる彼女のことを気にも止めず、気に入らないというようにこちらを睨んでいる。


「ロボロから連絡あってんな。ほんま危なかったんやで。俺がおって良かったわあ」

気に入らないのはこっちだって同じだ。
Aが傷付いている分、少しくらいからかってやったっていいだろう。そう思い、分かりやすく溜め息をつく。



エーミールが、ひとらんが彼女を気にかけるのは、Aに人として惹かれるものがあるから。
チーノが昨日1日であんなにも懐いたのはよく分からないが、グルッペンも彼女のことはそれなりに気に入っているとわかった。
俺が気に入っているのだって同じ。


それだけじゃない、アイツだって、もうずっと前から彼女のことを気にかけている。



彼女はきっと人間として出来ている。
弱い部分があって、強い部分がある。そこらの令嬢よりは見た目、座学、貴族としての在り方が劣っていようとも、それをカバーするように何処か魅力がある。
だからこそあの令嬢とは違う。男だけじゃない。同性であるメイドにまで守りたいと思わせる。



そんな彼女をいつまでも独り占め出来るとは思っとらん方がええで。

知っとる?ショッピくん。
彼女を想っとんのはエーミール一人やないんやで。



……大事にしとらんと、取られてまうで?

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秋人(プロフ) - パスワード掛けても公開して下さってありがとう御座います。本当に好きなお話なのでうれしいです。作者様に無理のないように過ごして下さい。 (2022年3月12日 23時) (レス) id: 3a6567d6ac (このIDを非表示/違反報告)
よにん - 前に見かけてまた見たいと思っていてまた見れて嬉しいです。応援してます! (2020年6月24日 15時) (レス) id: 3491a11aac (このIDを非表示/違反報告)
鬼雷 - 初コメ失礼します!少し前に見つけてひっそりと応援しておりました!ストーリーが凄く好きで先が凄く気になります!作者様のペースで頑張ってください!更新されるのを楽しみにしてます!完結まで追いかけます!頑張ってください! (2020年6月24日 0時) (レス) id: 15f01a3427 (このIDを非表示/違反報告)
りんご飴(プロフ) - 茄子さん» 教えてくださりありがとうございます!!これからも頑張ってください!!他はもう素敵な話ばかりで読み入ります!もしもあったら聞かせてもらいます…! (2020年6月17日 19時) (レス) id: c59a6d75f0 (このIDを非表示/違反報告)
茄子(プロフ) - りんご飴さん» コメントありがとうございます!ありがとうございます!泣きます(;;) 手首を掴んだのはsypさんです!いえいえ、分かりづらかったかもしれません……。ごめんなさい(;;) 分からないところがあればジャンジャン聞いちゃってください!ありがとうございました(^_^) (2020年6月16日 20時) (レス) id: 8809630e87 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茄子 | 作成日時:2020年4月6日 21時

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