16話 ページ16
em.side
「それはまるで、私が仕組んだと決めつけているような、私が、レイカさんに」
「お嬢様！！」
さっきと雰囲気は変わらない。オスマンをも威圧するような強さは変わらないのに、何処か弱々しさを感じる。普段の儚さとは少し違う、図書室でも垣間見えた彼女の弱さ。
婚約者の、ショッピに対してのみ現れるもの。
ふるふると、強く握られた手が震えている。声が、震えている。後ろからでは彼女の表情は見えないが、彼女の背中は先程までとは大きく違っていた。
酷く、小さく見えた。
幹部の、国の総統の前にも関わらず、思わず、と言ったように彼女の専属メイドが声を上げる。
その声は悲痛に満ちていて、彼女が「そのこと」をどれだけ気にしているか、「そのこと」にどれだけ傷付いているかがわかった。
「総統閣下、お嬢様のお話を遮る失礼をお許しくださいませ！それでも、そのお言葉はあんまりでございます！お嬢様は、A様は……」
そう言って瞳に薄らと涙を浮かべるメイドに、どれだけ彼女を慕っているのかがわかる。
きっと、彼女を守りたい一心で。
それは私だって同じなのに、どうして私は何も出来ないのだろうか。
「ルイ」
「っ、お嬢、様、」
彼女の威圧するような声に、メイドは押し黙る。
彼女はゆっくりと目を細めて俯瞰しているグルッペンに会釈をすると、一番近くの食卓に近づき、水が入ったコップを手に取った。
「グルッペン様、ルイの、彼女の失礼をお許しくださいませ。……ショッピ様」
コップを手にしたまま再び元の場所に戻った彼女は深く頭を下げ、自らのメイドの失礼を詫びる。
何も言わないグルッペンは何を考えているのだろうかはわからない。
ゆっくりと、彼女が顔を上げ、唐突にショッピに声をかける。
「あ……、はい」
「…どうか、私の行動をお許しください」
そう言って、コップを持った手を高く振り上げた。
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秋人(プロフ) - パスワード掛けても公開して下さってありがとう御座います。本当に好きなお話なのでうれしいです。作者様に無理のないように過ごして下さい。 (2022年3月12日 23時) (
レス) id: 3a6567d6ac (このIDを非表示/違反報告)
よにん - 前に見かけてまた見たいと思っていてまた見れて嬉しいです。応援してます！ (2020年6月24日 15時) (レス) id: 3491a11aac (このIDを非表示/違反報告)
鬼雷 - 初コメ失礼します!少し前に見つけてひっそりと応援しておりました!ストーリーが凄く好きで先が凄く気になります!作者様のペースで頑張ってください!更新されるのを楽しみにしてます!完結まで追いかけます!頑張ってください! (2020年6月24日 0時) (レス) id: 15f01a3427 (このIDを非表示/違反報告)
りんご飴(プロフ) - 茄子さん» 教えてくださりありがとうございます！！これからも頑張ってください！！他はもう素敵な話ばかりで読み入ります！もしもあったら聞かせてもらいます…！ (2020年6月17日 19時) (レス) id: c59a6d75f0 (このIDを非表示/違反報告)
茄子(プロフ) - りんご飴さん» コメントありがとうございます！ありがとうございます！泣きます(；；) 手首を掴んだのはsypさんです！いえいえ、分かりづらかったかもしれません……。ごめんなさい(；；) 分からないところがあればジャンジャン聞いちゃってください！ありがとうございました(^_^) (2020年6月16日 20時) (レス) id: 8809630e87 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茄子 | 作成日時：2020年4月6日 21時
