13話 ページ13
Aside
「オスマン様。その、どういうこと、とは……?」
正直、オスマンから発せられる威圧に胃に穴が空きそうになりそうだ。
オスマンは私の言葉を聞くなりあからさまに嫌な顔をして、大きな溜め息をつく。
溜め息をつきたいのはこっちの方だ。ふざけんな。
……なんて、心の中で愚痴を零しながらオスマンの次の言葉を待つ。
こんな時に、ショッピが婚約者として助けてくれたならどれだけ良いことか。それでも彼がそんなことをするわけが無いと、むしろオスマンに守られながらほくそ笑んでる彼女側につくに決まっていると、分かっているからまた辛い。
「A嬢。貴方の夕食を取りに来たメイドが、レイカちゃんにぶつかって水をかけたようで。彼女が言うにはどうやら、わざとぶつかったようです。それに、そのメイドを庇っているメイドは確かA嬢の専属メイドでは?彼女は何故、ここに居るのでしょうね」
「……は、」
所々トゲのある口調に、そして内容に。思わず令嬢らしからぬ声を漏らしてしまう。
かなり遠回しな言い方をされたが、オスマンが言うにはどうやら私は疑われているらしい。
公開処刑も極まりない上に、オスマンからのこの圧。今なら、オスマンの相手をさせられる他国の外交官の気持ちが痛いほど分かる。
本当に、どうして私がこんな目に。
「…それは、私がレイカさんに嫌がらせをするように頼んだと“疑っている”ということでしょうか?」
ニコリと、負けじと笑みを浮かべて言葉を返すと、対峙した2人の表情が酷く歪んだのがわかる。
幾ら幹部と言えど、仮にもオスマンと同じ立場であるショッピの婚約者に疑いをかけるなど、そう出来たことでは無い。だからこそわざと、「疑っている」と言う言葉を強調して返す。
少しやり過ぎただろうが、正直もうどうだっていい。
「失礼を承知でお話しますが、疑わないには余りにも不自然な状況です。例え一幹部の婚約者だったとしても、一人くらいは公平な位置に立って考えなければいけません」
一瞬焦りを表情に出したオスマンだったが、流石有能外交官とでも言えようか。
冷静に、上手い言い訳を並べる彼に、更に苛立ちが増していく。
そんなこと、思ってもないくせに。
1513人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
秋人(プロフ) - パスワード掛けても公開して下さってありがとう御座います。本当に好きなお話なのでうれしいです。作者様に無理のないように過ごして下さい。 (2022年3月12日 23時) (レス) id: 3a6567d6ac (このIDを非表示/違反報告)
よにん - 前に見かけてまた見たいと思っていてまた見れて嬉しいです。応援してます! (2020年6月24日 15時) (レス) id: 3491a11aac (このIDを非表示/違反報告)
鬼雷 - 初コメ失礼します!少し前に見つけてひっそりと応援しておりました!ストーリーが凄く好きで先が凄く気になります!作者様のペースで頑張ってください!更新されるのを楽しみにしてます!完結まで追いかけます!頑張ってください! (2020年6月24日 0時) (レス) id: 15f01a3427 (このIDを非表示/違反報告)
りんご飴(プロフ) - 茄子さん» 教えてくださりありがとうございます!!これからも頑張ってください!!他はもう素敵な話ばかりで読み入ります!もしもあったら聞かせてもらいます…! (2020年6月17日 19時) (レス) id: c59a6d75f0 (このIDを非表示/違反報告)
茄子(プロフ) - りんご飴さん» コメントありがとうございます!ありがとうございます!泣きます(;;) 手首を掴んだのはsypさんです!いえいえ、分かりづらかったかもしれません……。ごめんなさい(;;) 分からないところがあればジャンジャン聞いちゃってください!ありがとうございました(^_^) (2020年6月16日 20時) (レス) id: 8809630e87 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:茄子 | 作成日時:2020年4月6日 21時