番外編1 ページ32
もしかして、セノくんが監視してたりしたのだろうか、それなら気が付かないのもめちゃくちゃ納得だ。彼は隠密行動上手そうだし…。
｢ふふ、貴方の考えている通り、セノに任せたり、他にも私には優秀な部下が沢山いるのよ。｣
｢は…う、そう言えばナヒーダちゃん見えるんだったね…。｣
｢不躾に覗いちゃってごめんなさい。でも、こうして貴方の気持ちを見てみたけれど、やっぱり貴方は悪い人だとは思えないの。だから安心してスメールに置いておけるわ。｣
｢ナヒーダちゃん…。｣
｢スメールにようこそ、A。草神クラクサナリデビが、貴方の身元を保証するわ。｣
静かに微笑むナヒーダちゃんはそれはそれはもう美しくて、これが神の笑みかと気が遠くなりそうになるのを何とか堪えて、私はナヒーダちゃんに頭を下げた。
｢ありがとうございます…！｣
｢ふふ、良いのよ。｣
｢…では、話も終わったようなので、俺たちは帰らせてもらいます。｣
ナヒーダちゃんとの話が終わった途端、ずっと黙っていたアルハイゼンは席を立った。
｢あら、もう帰っちゃうの？｣
｢はい、今日は彼女と夕飯を作る約束があるので。｣
｢仲がいいのね、素敵だわ。Aもアルハイゼンも、またいつでもいらっしゃい。歓迎するわ。｣
｢また機会があれば。…帰るぞ、A。｣
差し出された手を握って席を立つと、歩き始めるアルハイゼンに着いていく。
｢あの、ナヒーダちゃん！また来るね！｣
｢えぇ、待ってるわ。｣
ナヒーダちゃんの姿が見えなくなるまで大きく腕を振り、スラサタンナ聖所を出たところで腕を下ろす。それからアルハイゼンの顔を見る。
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作者名：やたお | 作成日時：2023年8月21日 0時
