第4話 ページ4
「アルハイゼンさん、まぁ見てもらったらわかる通り、貴方はこのゲームの中のキャラクターなんです。」
「キャラクター…。」
「はい。貴方の他にも、ちょっと失礼しますね。ほら、カーヴェさんやティナリさん、旅人さんも。」
スマホを持っているアルハイゼンの隙間から画面をポチポチと押して色んな子を見せてやると、アルハイゼンは口を1つに結んだ。
「…成程。どうやら、嘘ではなさそうだ。」
「信じていただけたようで何よりです。」
スっと返されたスマホを手に取って電源を落とすと、私はまたアルハイゼンに向き直した。
「…ふむ、では君が先程言っていた、逆トリップとは？」
「あぁ、それはこっちの世界で良くある、娯楽小説のシチュエーションなんですが、2次元、えっと、物語の中のキャラクターが、自分たちの住んでいる世界に、今こうしてアルハイゼンさんが現界しているような状況のことを、逆トリップって言うんです。だから、アルハイゼンさんが娯楽小説の中の世界に行ったら、それはトリップってことになりますね。」
「成程。」
ちゃんと私の語彙力で伝わっただろうかと心配になったが、彼の頭脳の前ではその心配も必要なかったようだ。私の情報を丁寧に処理して、自分の言葉に置き換えて、納得したようだ。
「それで、君の住んでるこの世界はなんて言うんだ。」
「ここは地球って言う、大きな大陸の中にある小さな国、日本です。」
「ちきゅう…にほん…。文字は？」
「漢字や英語、平仮名、片仮名、色々な物があります。まずは漢字で書きますね。」
スマホの電源を付け直して画面に文字を打ち込む。そのまま彼に見せると、彼は知らない文字だ。とため息をついた。
「会話は問題ないが文字は駄目なようだ。」
「そうみたいですね。他の言語でも書いてみましょうか？」
「いや、そうだな、後でやってもらうとしよう。取り敢えず今は、ここからどうやって自分がいた場所に帰るかが知りたい。」
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作者名：やたお | 作成日時：2023年8月21日 0時
