家に帰ったら推しに剣を向けられたんですが (ページ29)

今日:2 hit、昨日:83 hit、合計:27,369 hit

最終話ページ29

｢確か…。｣

善は急げだ。自身の記憶力には自信があるが、期間が伸びれば伸びるほど、情報に齟齬が生まれる。こういう大事なことは、早ければ早いほどいい。

帰って早速、彼からのありがたい言葉を思い出して準備をしていく。

こういうとき、この書記官という立場で良かったと深く思う。この部屋を自由に使える職位なんて、中々ないからな。

｢ふむ、こんなものか。｣

粗方準備を終えて、一息つく。

ふと、突然帰ってきてしまった日を思い出す。

目を覚ましたら、自身の見慣れたベッドの上で、部屋を出たらボサボサのカーヴェに詰め寄られた。

3ヶ月の間も一体どこにいたんだと。俺は本当のことを話しても信じて貰えないと考えたので適当に誤魔化したが、流石にクラクサナリデビ様は誤魔化すことが出来ず、貴方が楽しかったなら良かったわ。と暖かな笑みを向けられた。

その後に渡された書類の量はもう思い出したくもないが。

旅人やティナリ、ディシアにまで心配されていて、ふと自分の周りにはこんなにも人が増えていたのかと気付いた。

そんな、一緒に世界を救ったスメールの戦友たちに己の好いた人を紹介したいと思うのは、自然の理だろう。

あぁ、はやく、君に会いたい。

そして、次は、君と二度と離れないように。