第28話 ページ28
アルハイゼンside
｢はじめまして鍾離先生。俺はアルハイゼン、スメールの教令院の書記官をやっている。｣
｢ほぉ、書記官殿が遥々璃月までなんの用を？まぁ、取り敢えず座るといい。璃月の茶は美味いからな。味わわない手は無い。｣
｢…お言葉に甘えさせてもらおう。それで、単刀直入に聞かせてもらうが、鍾離先生は知識の幅が広いと耳にしている。そこで、俺の知りたいことを知っているんでは無いかと今回は貴方の元へ伺わせてもらった。｣
｢ははっ、何を。俺はただ記憶力がいいだけだ。だが、俺の持っている知識が書記官殿の力になれるのなら喜んで力を貸そう。｣
｢助かる。｣
璃月に居る鍾離先生という人物が、これまた博識だと言う噂を聞いた。普段ならば聞き流すような噂も、縋り付きたい一心で話を聞き出した。
纏まった休暇を取って赴いてみると、これまた驚いたものだ。本当になんでも知っているのである。
彼は記憶力が良いだけだと口では言っていたが、彼の知識量は記憶力がいいだけでは収まらないものをしていた。
ふと、頭の片隅である言葉が浮かぶが、その言葉を口にしたが最後、彼から何も話が聞けなくなる気がして、口を閉ざした。
別の世界にいる人を、こちらに連れてきたい。
そんな突飛な言葉にも、彼は真剣に頭を悩ませた。それから、彼は口を開いた。
彼の言葉を一言一句聞き逃さぬよう、慎重に言葉を追った。それから一言一句違わぬように脳に記憶した。
｢それで、貴殿は何故このようなことを。｣
｢好きな人がいる、ただそれだけだ。｣
｢はは！それはいい、成功する事を祈っている。｣
｢…感謝する。｣
｢いや、構わない。こちらも興味深い話が聞けた。また機会があったら、その彼女と璃月に訪れるといい。いい場所を教えよう。｣
｢機会があったら。｣
トン、とお茶の代金と更に情報量を上乗せしたものを机に置くと立ち上がってスメールへの帰路へと急いだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 179人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やたお | 作成日時：2023年8月21日 0時
