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第26話 ページ26
それから部屋の中をぐるりと案内されて、ゲームの中では行けなかった彼の寝室なども覗けてだいぶ興奮した。
｢そろそろ夕飯の時間だ、食べに行くか。君はどうしたい。｣
｢えっ、それならピタ食べてみたい。ずっと食べたかったんだ。｣
｢わかった、なら買いに行こうか。…と、そうだ、いつまでも制服は動きずらいだろう、何か着れそうなものが無いか探してくる。少し待っていてくれ。｣
｢分かった。｣
そう言って暫くしてから持ってきたのは、1着の薄緑の綺麗なワンピースだった。
｢これは…。｣
｢母が着ていた服だ。｣
｢そ、そんな大事なもの。｣
｢君だから着て欲しい。…君が嫌なら代わりの物を用意するが。｣
｢…ううん、ありがとうアルハイゼン。大切に着させてもらうね。｣
｢あぁ。｣
ふと彼が柔らかく微笑んだ。その笑顔はとても儚くて美しいものだった。
ごくりと喉を鳴らすと、私は早速宛てがわれた自室に戻って服にゆっくりと腕を通した。
くるりと鏡の前で変じゃないか確認すると、いそいそと彼の元へ戻った。
｢お待たせ、どうかな。｣
｢うん、とても似合っている。母も服も、君に着てもらえて喜んでいるはずだ。｣
｢そうだといいな。｣
行こうか。と差し出された手に己の手を乗せて、夜のシティへと足を運んだ。
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作者名：やたお | 作成日時：2023年8月21日 0時
