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第22話 ページ22
とか話してたのに、次の日アルハイゼンは呆気なく姿を消した。
朝起きて、いつもはする朝食のいい香りが無くて、アルハイゼンが珍しく寝坊でもしたのかなって部屋を覗いたら、そこはもぬけの殻だった。
ぺたぺたと冷えた廊下を歩いて、一部屋ずつゆっくりと回る。
何度ドアノブを引いても、何度視線を部屋に向けても、何処にも居なくて、脱力してソファへ座り込む。
いつかは、いつかは帰るのだろうと思っていたが、いきなり過ぎないだろうか。
ぼ〜っと部屋に貼ってある五十音表を眺めた。
じんわりと視界が歪んでいく。お別れの言葉くらい、言わせてくれても良かったんじゃないか。
何も言わず、何もすることが出来なくて、いつの間にか、最初から居なかったかのように消えて、胸にぽっかり穴が空いたようだった。
帰るための手がかりだって、無かったし、予兆もなかった。本当に一瞬で、ポンと消えてしまった。
｢……分かってたけど、思ったより、しんどいな。｣
アルハイゼンはこの世界の住人じゃない、テイワットの住人だ。だからいつか世界に帰らなきゃならないのは分かっていたし、納得もしていた。
でも、でも、寂しいものは、寂しいじゃないか。
｢泣くのくらい…許して貰えるよね…。｣
明日、仕事休ませてもらおう。
今日と明日ゆっくり休んで、気持ちを切り替えて、生活していこう。
大丈夫、アルハイゼンが来る前はアルハイゼンが居ない生活を送っていたのだ、また、その生活に戻るだけだ。
｢……静かだなぁ。｣
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作者名：やたお | 作成日時：2023年8月21日 0時
