第14話 ページ14
あの日から2週間くらい経ったくらいの日、私は誰かに提出する訳でも無く、アルハイゼンに見せるためだけの論文をチマチマと進めていた。
果たして論文と読んでいいものなのか分からないが、まぁ、私が論文って思ってたら論文なのだ。
そんなくだらないことを考えながらも手は動かす。もう何度も書いてきたものだ、結構手馴れてきた。けれど、躓くときは躓くので、手が動かなくなってきたら外へ出る。
昔の私のルーティーンを思い出して、現在同じような生活をしている。
やっとの思いで書き上げた論文は、まぁまぁ良い出来なんじゃないかって思えるくらいには、納得がいく仕上がりだった。
アルハイゼンに読ませるために、普段は送らない手紙をしたため、郵便屋に頼んでアルハイゼンの手元へ送ってもらった。
それから暫くして、彼から返事があった。
25日の17時にプスパカフェで。
その短い一言で終わっていた手紙を読んで、私はため息をついた。相変わらず愛想がない男だ、と言うより、私の予定は全く聞いて貰えない感じか…。いや暇だけど。
と、今日は何日だったかと、息抜き以外に外に出なかったため、日付感覚も狂い始めて、カレンダーをちらりと見ると、今日はどうやら25日のようだった。
ん?待てよ、25日…?手紙は…25日…。きょ、今日じゃないか!!!!!急過ぎる!!!!急いで席を立って時計を確認する、時刻は13時で別にまだ時間に余裕があるため、そんなに急ぐ必要は無いのだが、やはり、準備はしておきたい。
慌てて鞄はどこだっけ、化粧しなきゃ、あー!髪の毛ボサボサ!と、あっち行ったりこっち行ったりして、無事準備が終わる頃には、既にヘトヘトだった。
机に突っ伏して、ちらりと横目で時計を見ると14時半。意外とまだ時間がある。論文も書き終わったし、研究もひと段落ついていたため、する事がなくて、どうせだったらと鞄を持って外に出るとこにした。
しっかりと鍵がかかったことを確認するとシティへ向けて歩みを進めた。
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作者名:やたお | 作成日時:2023年2月13日 16時